百貨店の外商催事が9月に相次いで実施される。業績を支えていたインバウンドが足元で減速している中、外商の堅調さが際立つ。買い上げ額の上位顧客を店舗やホテルに招いて、シーズンの先行・限定品などを販売するほか、体験型イベントや飲食などでもてなす。
主に春と秋に開催し、大手の春の外商催事は売り上げが過去最高だった。三越伊勢丹では25年春の売り上げが、伊勢丹新宿本店の丹青会(1日間)で68億円、三越日本橋本店の逸品会(2日間)で50億円に達した。特に売れ行きが良いのは希少性のある商品だ。
ラグジュアリーブランドや時計・宝飾品のほか、自動車や楽器、不動産など通常の店舗で扱いのない商品を含めて取り組みを強化する。大丸松坂屋百貨店も今春の大型ホテル催事の売り上げが過去最高だった。都心店の周辺だけでなく「百貨店の閉店やラグジュアリーブランドの撤退による空白エリアの開拓を強化する」という。
アプリだけの上位買い上げ客に対しても、外商専用サイトの開放や外商催事への誘客など、既存の外商顧客に付与されているインセンティブやサービスの一部を提供する。顧客との関係性が深くなるほど買い上げ額が増える傾向にある。デジタルを活用したダイレクトマーケティングで、LTV(顧客生涯価値)の向上とともに次世代顧客の獲得につなげる。