今期(26年3月期)は、大手総合商社3強の序列が変わりそうだ。前期は連結純利益9000億円台だった三菱商事と三井物産が今期はともに7000億円台の見通し。一方、伊藤忠商事は9000億円を掲げ過去最高益の更新を狙う。
単体従業員数では伊藤忠と三菱商事が4500人を切る水準で三井物産は約5400人。伊藤忠と三菱商事は限られた人員で多くの利益を稼ぎ出す。
先日、伊藤忠の武内秀人執行役員繊維カンパニープレジデントを午前10時に訪ねた。会議や決裁を含め午前中にやるべき仕事の大半をすでに終えていた。朝型勤務で時間の使い方が変わったという。残業は減り、夜に会食があっても比較的早く帰宅し、寝るのも早いそうだ。
伊藤忠は朝型勤務の導入を機に十数年間で労働生産性(連結純利益÷単体従業員数)を5倍以上に引き上げた。22年度からは朝型勤務を「朝型フレックスタイム制度」に進化。午前5~8時の早朝勤務を推奨し、9~午後3時をコアタイムとして午後3時の早帰りも可能にした。
人口減少が進む上に、ライフスタイルやライフプランが多様化している。従来の働き方だけではそうした多様な生き方に対応しきれない。限られた人員で成果を出すためには労働環境や制度の充実が必要だ。従業員満足を高く保ち続けなければ人材は流出し、成長もおぼつかないだろう。