EC業界のキーマンに聞く24年注目のトピックス 変化に合わせた成長戦略を

2024/02/23 06:29 更新有料会員限定


 関心が高まる生成AIや物流24年問題、二次流通、越境ECなど、24年に注目されるトピックスについて、6人のキーマンにインタビューした。人流が回復したからこそ、より重要度が増すOMO(オンラインとオフラインの融合)、大手アパレルも参入し、そのブランディングノウハウが注目されるDtoC(メーカー直販)など、変化する時流に合わせた成長戦略が語られた。

OMO 目指すは〝令和の商店街〟

パル 常務執行役員 プロモーション推進部部長 WEB事業推進室室長 コミュニティーデザイン室室長 堀田覚さん

堀田覚さん

 23年はリアル回帰が進み、全体的にはECが伸び悩んだが、パルはOMOの取り組みが実り、実店舗、ECどちらも2ケタ増ペースで推移している。OMO推進のポイントを聞いた。

 ――取り組みの重点は。

 大きな概念としてはLTV(顧客生涯価値)向上が目標だが、お客様の数そのものを増やすことも不可欠だ。そのためには実店舗だけでなく、SNSの活動も重要。SNSは直近で、スタッフのアカウントの総フォロワー数は1500万人が見えている。フォロワーが10万人以上いるスタッフの数は30人に増えた。企業メッセージの「パッションとラブ」をまず伝えるとのスタンスが浸透し、勘どころをつかんだスタッフも多い。

 これに加え、多ブランドを持つ企業体としての強みを最大限生かしていく。企業としてのパル、自社ECサイト「パルクローゼット」をさらに磨く。パルはブランディング、パルクローゼットはプラットフォームの役割として各ブランドの後ろでもっと機能させていく。EC発のブランドもどんどん挑戦したい。自社サイトの中でトライ、周知、インキュベートもしやすく、育てば実店舗にも生かせる。データ活用も進める。

 ――昨夏、OMO型のイベントを初開催した。

 パルクローゼットの予約受注会を渋谷で開き、スタッフとの会話も楽しめる内容にした。リアルとECをオーバーラップする活動はもっと増やしたい。社内では、目指す例えとして「令和の商店街」という言葉を使っている。令和はテクノロジーを使って利便性を最大に生かす、商店街は身近で人懐こい個人商店の集まりのイメージだ。

23年8月のパルクローゼットの予約受注会。2日間で3000人近くが来場した

 ――今後のECの目標は。

 一つの目標として28年度(29年2月期)に1000億円を設定している。将来的にパルが描くのはDtoCの個人ブランドによる集団。お客さんと一緒に推し活できるような形になればと。各ブランドは等身大から生まれ、マーケットの〝好き〟と結びつけながら育ってきたものが多い。共感を軸に推進するビジネスだと捉えれば、今後もトライできることはたくさんある。

越境EC 国内外での認知拡大がカギ

ビーノス 代表取締役執行役員社長兼グループCEO 直井聖太さん

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