【販売最前線】ブログの達人
24時間接客へ効果最大限に ロープレで審査も
ウェブでも実店舗でも、「接客」の基本は同じ――。パルコはショップブログの活用と実店舗での接客を結び付けたテナント向け研修を今期(16年2月期)から本格的に始めた。ウェブで自在に買い物するとともに、ブログやSNS(交流サイト)での情報をもとに実店舗に来店する消費者が増えていることに対応した施策だ。接客ロールプレイングコンテストの審査項目にも「ブログ審査」を加え、今の消費者の買い方に合わせた接客のレベルアップを図っている。(有井学)
同社は13年度にフェイスブック、ツイッター、LINEなど複数の公式SNSを全19施設、ショップブログを全テナント約3000店に導入した。昨年5月からはショップブログに掲載された商品の一部をウェブ上で取り置き予約と注文ができる「カエルパルコ」、同11月からは事前登録したクレジットカードで購買した際にポイントとして「ショッピングコイン」を付与する機能などがあるスマートフォンアプリ「ポケットパルコ」の運用を開始した。
こうしたハード面の整備と並行して、カエルパルコとポケットパルコの利用促進も兼ねて、テナント向けにウェブ研修も積極的に実施してきた。
接客に優れる店はブログも上手
今期からは、これらウェブ活用施策を進めてきたWEB/コミュニケーション部と、接客研修などを行ってきたCS顧客政策部をWEB/マーケティング部に一本化。ショップブログを軸に〝24時間接客できる〟プラットホームを整えた。これにより「ウェブは実店舗の延長線上にあり、これらを一体化することで効果を最大限に発揮する」(林直孝WEB/マーケティング部部長)ことができる。
この方針に沿って、テナント向け研修では「以前は消費者が実店舗に来た時点で接客が始まっていたが、今は消費者がショップブログで気になる記事や商品をクリップした瞬間に接客が始まる」ことを強調。ブログの更新の仕方やコメントの書き方、商品の撮影手法などの講習を実施している。同時に、ブログなどで商品情報を得て来店した客に対して「売り場でしかわからない情報をいかに伝え、購買につなげるか」などネットやSNSの浸透を前提にした実店舗での接客レベルアップにも取り組んでいる。
12施設で実施している接客ロールプレイングコンテストの審査項目にショップブログを加えたのは「ウェブ、実店舗ともに、お客様に満足していただくという点では接客の基本は同じ」だからだ。審査ポイントは単なる商品やスタッフ紹介ではなく、「お客様が商品を使うシーンが想像でき、店頭に行きたい、体感したいと思える内容かどうか」「読者に伝わりやすい表現の工夫ができているか」など実店舗に通じる点が多い。実際に、「店頭での接客に優れるショップはブログの記事もうまい」という。
(繊研 2015/06/16 日付 19258 号 8 面)
(繊研新聞=お申込はこちら)