龍宮社長 梯恒三さん これからも“一品勝負”

2023/11/10 12:00 更新有料会員限定


梯恒三さん

 「安心・安全で健康に資する寝具」。このように評価されているのは龍宮(福岡県うきは市)が作る日本製の「パシーマ」だ。父で創業者の禮一郎氏が発案から苦節10年かけて開発し、92年の発売以降もパシーマの品質をさらに高める改良や、生産体制の整備に投資を続けてきた。その一方、大学との研究を積み重ねて得たいくつものエビデンス(証拠)を基に唯一無二の立ち位置を確立。それを強みに自力で販売ルートも築き上げ、累計販売枚数は約10万枚となった。〝一品勝負〟に賭ける同社の歩みと、創業者の意志を受け継いだ梯社長の経営判断には、中小企業が生き抜くためのヒントがある。

安全で健康に資する寝具

 ――パシーマとは何か。

 当社が生産する医療用の脱脂綿とガーゼを組み合わせた商品です。タオルに使われる一般的な綿糸(20番手)よりも細い40番手の国産綿糸で織った高密度のガーゼで脱脂綿を挟み、キルティングした3層構造。空気をたくさん含み、吸水力、吸水速度も優れ、蒸れにくいため一年中使えます。

 優れた安全性の肝になる工程は精練です。綿から油分などの不純物を除去し、純度を高めて新生児の肌にも優しい綿製品にします。通常の釜の倍の精練釜で、綿の状態に合わせて温度や圧力を細かく調整し、1~2日間じっくりと時間をかけて精練、染色して医療の現場でも使える純度に磨き上げています。

 家庭の洗濯機で丸洗いでき、アレルギーの原因とされるダニやホコリを洗い流すことで清潔さを保てる点も大きな特徴です。03年には日本の寝具として初めて、繊維製品の安全性を証明する国際規格「エコテックススタンダード100」で最も厳しい乳幼児対象のクラス1を取得しました。

 ――開発に10年かかった。

この記事は有料会員限定記事です。繊研電子版をご契約すると続きを読むことができます。

ログイン契約して読む

会員の方はこちらからログイン

関連キーワード電子版購読者限定パーソン



この記事に関連する記事