スピングルカンパニーが今秋から新ブランド

2016/11/09 06:46 更新


「サーティスリー」  ドレスシューズ+スポーティー 伊の厳選皮革使い深みある色の革靴


 世界から厳選した材料を使って美しい革靴に仕上げました――、今秋デビューの「サーティスリー」は、手染めした色の深みを魅力とするメンズシューズだ。東京都内にある工場で生産しており、ドレスシューズとスポーツエッセンスの融合で新たな価値を提案する。

 企画するのは、国産のスニーカーで大きくビジネスを成長させているスピングルカンパニー。親会社のニチマンが保有する革靴工場の設備を生かし、従来とは異なる切り口の魅力を持った製品を作ろうと、新たなプロジェクトに取り組んだ。普段使いの延長で、素材の質、機能性、見た目の美しさとともに、世界最高の水準をめざす。

 ソールなどはスポーティーだが、革靴のクラシカルで上品な印象もあるのが特徴だ。イタリアで紳士靴の経験を積んだパタンナーがデザインしており、「ドレスシューズのアッパーを生かしつつ、履き口のカッティングを深い曲線で仕上げる」など、異なる要素をバランス良く両立している。

 使用する革素材は、イタリアのタンナー、インカス社のヌメ革。ラグジュアリーブランドなどが使っている高級素材だが、一定量を直接仕入れ、自前で染色することでカラーバリエーションを可能にしている。ラバーのソールも同様に伊製で、軽量かつ柔軟性ある履き心地の2層構造を採用、工場にある真空圧着機で圧着させている。

 革の染色は、パティーナと呼ばれる専門性を持った染色師が行う。色の調合や開発にはコロンブスが技術協力しており、下染めした革素材に、複数の色を重ね塗りして一つの色のように見せている。最終仕上げには、最高級の靴クリーム「ブートブラック」を使う。

 大きな強みは、一流ブランドのように上質素材を使って手間を掛け、3万円台で提供できていることだ。自社内で完結させる物作りによって、手に届く価格帯を実現する。

 デビューに際しては今夏、一部の百貨店で期間限定店を開いた。1週間で30足近くが売れるなど、消費者は価格に対する質の高さに共感している。17年春夏に向けても、新しいカラーやスリッポンタイプを充実させており、販路の拡大に期待が持てそうだ。

レースアップからネオプレンの切り替えなど多彩なデザインが揃う


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