国内合繊メーカーは、差別化原糸や高機能テキスタイルの強みを磨く。サステイナブル(持続可能な)は前提となっており、リサイクルやバイオベースの合繊、非フッ素撥水(はっすい)などに機能や感性をミックスする。またスポーツとファッションの垣根が低くなっており、アスレチック分野のパフォーマンス向上につながる機能性が、街中での快適性にも貢献する。各社はISPOミュンヘンへの出展を通じ、グローバルな素材プロモーションに力を入れている。
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東レ 暑熱対策に注目
東レは吸水速乾による汗処理、遮熱・防透け、高通気といった機能素材を進化させ、アスレチックから街着まで幅広く提案する。グローバル市場に向けては、防水透湿「ダーミザクス」、毛抜けしにくい起毛素材「カルイシ」の二つを軸にブランディングを強める。
23年夏の猛暑が話題となったが、改めて暑熱対策素材が注目されている。「フィールドセンサー秒乾」は吸水速乾の頂点素材。シングルニットながら特殊構造によって汗を表側に拡散・乾燥させ、肌側をドライで快適に保つ。スポーツ用途以外に、ハイゲージニットでビジネスシャツ向けに関心を集めるなど着用シーンも広がっている。
遮熱・遮光や防透け性を追求した「ボディシェルEX」も猛暑で注目が高まっている。3層構造にバージョンアップし、酸化チタンの含有量の多い超フルダルポリマーを2層目に配置、最外層と芯は酸化チタンを含まないリサイクルポリエステルで、糸のリサイクル率を76%にまで高めた。ゴルフウェアやカジュアル用途で採用が進む。
高通気織物「ドットエア」は、格子状の通気孔によって蒸れや暑さを軽減する。わかりやすいネーミングもあって指名買いされる人気素材だ。メッシュ調の定番タイプだけでなく、穴が目立たない物やストレッチの伸長時に通気する物などバリエーションを広げ、レディスでも採用される。
秋冬はダーミザクスとカルイシが柱で、ISPOでも両ブランドを大々的にアピールした。ダーミザクスは3カテゴリーに分け、防水透湿膜も進化させる。高耐水圧から高通気タイプまで、ニーズに応える。カルイシは片面起毛のニットで、特殊編み構造で毛抜けを抑える。肉厚ながら従来のフリースの半分程度の軽さが出せ、緻密(ちみつ)な表面と起毛面のダブルフェイスも受けている。
帝人フロンティア 25年に向け二つの新商材
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