仙台のカジュアルブランドがグッドデザイン賞
クレセントグース「ティージー・オーセンティッククラシック」
ローカル発のカジュアルウェアブランドが「2016グッドデザイン賞」を受賞した。珍しい例となったのは、仙台市でセレクトショップやFCを運営するクレセントグースの「ティージー・オーセンティッククラシック」だ。作り手と売り手の双方にメリットのある定番品を作り上げる仕組みの確立で評価された。受賞を機に、既存の卸し先との関係をより深めるとともに、主力のメンズのほか、キッズ分野で新たに攻勢をかける。
ティージーは編み立て、染色、縫製の全工程を東日本で生産する。小規模ながら全体がチームとなり工程ごとにリスク分散することで、年間定番品として小ロット対応の継続的な供給を可能にした。最大の強みである期中の追加フォローの体制も確立した。
流行で終わらない
きっかけは5年前。「東日本大震災後に物作りの現場の人たちへ安定的に仕事を回し、ブランドの要となるオリジナル生地を守り続けたい」(大西芳紀社長)との思いから仕組みを開発した。現在は年間1万枚以上を生産している。
セレクトショップが主力事業のクレセントグースは、卸し先の小売店の状況や思いも理解している。厳しい環境が続く専門店が無理せず、長く商売できるような適正な在庫の提供を第一に考え、生産体制を構築していった。

通常、専門店が仕入れる際、最近は慎重なため初回発注は少量になりがち。そうすると販売機会ロスが生まれ売り上げも縮小せざるを得ない。しかし、ティージーではクイックな追加フォロー生産も全体の4割を占め、継続的に販売できる小売店だけでなく、閑散期なく生産できる工場にとってもメリットが大きく、好循環を生み出せる。
現在、卸し先は国内で100店以上、海外で15店前後まで広がってきた。
主力商品は旧式の編み機で職人が手間をかけて編み立てた高密度天じくのスラブコットンと、柔らかくふんわりしたオーガニックのスラブコットンの二つの生地を使ったボートネックのカットソートップ。9500~1万1000円を中心に提供する。「単なる流行で終わらない、そぎ落としたシンプルなデザインで、気がつけばそればかり着てしまうのが日常着であり、普遍的な定番になりうる」(大西社長)と強調する。
キッズ充実し攻め
これまで主力のメンズ4サイズ、レディス2サイズ、キッズ3サイズ、USサイズ2の合計11サイズ13色を提案してきた。今後、キッズで隙間サイズの130、140センチも加え、母親と子供がお揃いで着られるデイリーウェアをイメージした訴求にも力を入れる。大人向けでも別注対応や期間限定店の取り組みなど卸し先とともに長く愛されるブランド作りを続ける。
東京・中目黒にショールームを設置し、きめ細かい対応や今まで以上の発信に努める。
(繊研 2016/10/25 日付 19577 号 1 面)