繊維雑品の染色加工を主力とする東海染工(静岡県富士市、普代昌文社長)は、新規事業として取り組む竹の染色加工で、「かぐや姫」をモチーフにした竹製の照明器具を開発した。今後、地元と連携して具体的な販売戦略を練る。
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かぐや姫が竹から生まれ、竹採りの翁(おきな)らと暮らしたと伝わる富士市は、豊かな竹林が広がる。同社は「かぐや姫の里」として地元を盛り上げるために、普代研三会長を中心に竹の染色に挑んできた。
油分の多い竹を、あえて油抜きせずそのまま染色し、竹本来の自然な艶を残す技術を確立。竹灯篭や一輪挿しなどに加工していたが、「より多くの人にかぐや姫の里である富士市を知ってほしい」(普代会長)と、新製品の開発に取り組んだ。
適当な長さに切り、くり抜いた竹の全体を黄色で染めた後、竹の上と下を緑色にグラデーションを付けながら染める。くり抜いた部分にかぐや姫の人形を座らせ、天井にライトを取り付けた。かぐや姫の髪や衣装は、紙バンド作家に製作を依頼した。
紙バンドとは、1本ずつ糸のように撚った紙を帯状にくっつけたもの。もともと、米袋に使われていたが、その後、手芸用にも広がった。製糸業の盛んな富士市の特産品だ。
原料の竹をはじめ、細工や染色、かぐや姫の衣装など、ほぼ地元でまかなえる。「地域の名産品を扱う店などで扱ってもらえれば」と、かぐや姫の里の活性化につなげたい考えだ。