【センケンコミュニティー】思っていたよりずっと楽しい! 社員の一体感
社員同士の交流や一体感の醸成を目的に実施する企業が増えている社内運動会。「大人なのに運動会?」とあなどるなかれ。競技で体を動かす人、声援を送る人と様々ですが、参加者は皆「思っていたよりずっと楽しい」と口を揃えます。スポーツの秋、ということで今月はFB(ファッションビジネス)企業で行われている運動会・スポーツ大会を集めました。
★三越伊勢丹
★三井不動産商業マネジメント
★サマンサタバサジャパンリミテッド
★クラボウ
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◆三越伊勢丹/多彩な種目、家族で楽しむ
三越伊勢丹は8月、東京・両国国技館で従業員運動会を開いた。前身の三越、伊勢丹の両社を通じて二十数年ぶりの実施。主催は労使で運営する福利厚生団体の三越伊勢丹グループ共済会で、首都圏グループ会社の従業員、その家族ら約3500人が参加した。
普段から店頭で多彩なイベント、催事を行っている同社だけに、運動会の種目もバリエーションに富んでいる。まず全員でじゃんけん大会を行い、優勝者による選手宣誓で開幕。その後は綱引きや障害物競争といった定番種目のほか、フォークダンスなどが続く。閉会式は有志バンドがライブを行い大西洋社長も参加。フェスさながらの盛り上がりを見せた。フィナーレは全員で心をひとつに「世界に一つだけの花」を歌いながら全員で手をつなぎ、社長、会長を含めて会場全体が大きな輪になった。
家族揃って楽しめる工夫も散りばめた。会場の両国国技館にちなんで、時津風部屋の力士に協力を依頼。本物の力士とガチンコ勝負できる〝ちびっこ種目〟には、従業員の子供約150人が参加した。このほか会場内で縁日やアトラクションを充実させた。また「ギネスワールドレコードチャレンジ」と題し、参加者が胸の前でハートを作る記録にも挑戦。無事にギネス世界記録を更新した。
同社の各店舗では、13年度から店舗休業日を10年ぶりに復活させて以降、2月と8月に原則2日ずつ設けている。これまで休業日には各所属部署単位でレクリエーションや工場見学などを行ってきたが、事業会社や勤務地、雇用形態を超えた従業員同士の交流を深め、一体感を醸成するため運動会を開いた。
大西社長は「管理職から若手まで、普段は見られない表情や、仕事中とは違うコミュニケーションを楽しむ環境を作ることができた」と評価。参加した従業員からも「店長など普段あまり接することのない方と交流できた」「同僚の仕事とは違う一面を知れた」との声が多く挙がった。
◆三井不動産商業マネジメント/全国各地から社員が集結
ららぽーとなど商業施設を運営する三井不動産商業マネジメントは「ららリンピック」を開いている。約400人の社員が参加し、玉入れや綱引き、チーム対抗リレー、新入社員による余興や競技を行うもの。全国各地で働く普段あまり交流のない社員が交流することを目的に毎年開催し、今年で6回目を迎えた。
開催のきっかけは全社をあげて取り組めるイベントを企画立案し、社員の一体感を醸成するための社内プロジェクトが発足したこと。メンバーはまず「年齢・性別を問わない」「やっても見ても楽しい」を条件にし、より多くの社員が集まることを意識した。次に一体感を醸成するため①一丸となれる②みんなで目標を持てる③互いに応援できる④社員同士が話す機会がある――の4要素を抽出。これらの条件を満たす企画案を出し合った結果、運動会に決定した。
プロジェクトメンバーのひとりは「もちろん、簡単に意見がまとまったわけではない」と振り返る。多忙な部署では「企画の趣旨を理解してもらうのも難しい」といった厳しい意見もあったという。しかし①所属部署以外のとの接点が少ないと感じている社員が多い②あまり交流のない社員と会うことで横のつながりができる③普段見られない姿が見えて社員同士が親近感を持てるといったメリットを社長プレゼンで訴え、実現にこぎつけた。
「大人になって運動会なんて…」と冷めた目で見ていた社員も、実際に参加すると「楽しかった」と口を揃える。業務上、全員が参加できるわけではないが、「毎回留守番する人を変え、数年単位で社員全員が参加できるように配慮している」という。
チームお揃いのタオルの作成などで一体感を高めている。また、当日参加できず留守番をしている社員も一緒に盛り上がれるように、応援メッセージの寄せ書きをTシャツを、チーム対抗リレーの出場者が着用するような取り組みも行っている。
◆サマンサタバサジャパンリミテッド/“サマンサ学園” クラス対抗で絆深める
サマンサタバサジャパンリミテッドは、社員旅行の中で運動会を開いている。店舗スタッフ同士のコミュニケーションを強化し、絆を深めるのが狙い。年間で10回と、回数を分けることで、ほぼ全店舗のスタッフが参加できる仕組みだ。
旅行中は、一体感を出すため、サマンサ学園をテーマにクラス分けし、それぞれに揃いのTシャツを作成する。普段接触の少ないスタッフ同士が親睦を深められるように、クラス分けは、エリアもブランドもミックスになっている。
運動会も、もちろんクラス対抗だ。プログラムで最も盛り上がるのは障害物リレー。リレーの最後にはメモが置かれ、「○○の色の靴を履いている人を探す」「○○の特技をもっている人を探す」などユニークなお題が記されている。ドキドキしながらも、みんなに聞いて回っているうちに誰とでも気軽に話すことができ、コミュニケーションがより深まる企画だ。
楽しい懇親会や運動会がある一方、1泊2日の旅行では、朝から2~3時間の研修もある。店頭で実際にあった感動エピソードのモデルケースを共有したり、課題を出して自分たちだったらどういう対応をするかなど、各クラスごとにアイデアを出し合う。ちょっとした会話からニーズを確認しつつ、どうしたら感動につながる接客ができるのかを学ぶ。研修を経て、すべては自分たちが楽しんで接客をしている姿からつながるということを会得していく。
なお、全ての運営は本社の有志プロジェクトチームがほぼ手作りで行っている。その尽力に感動する参加スタッフも多く、本社と店舗との絆が深まる貴重な機会にもなっている。
◆クラボウ/事業所、子会社も巻き込んで球技大会
クラボウは、職場コミュニケーションの円滑化や事業所間の交流・親睦などを目的に全クラボウ球技大会を開催している。種目は男子の野球と女子のバレーボールの二つ。前身である第1回の社長杯野球大会が開催されたのは86年前の1929年の秋。その翌年には第1回となる女子バレーボール大会が開催されたという歴史のある大会だ。
2008年に開かれた創立120周年記念大会以降は全国大会を休止していたが、昨年から復活した。社内からは社長杯の名前で親しまれており、当日には社長自らが優勝旗を授与するなど、国内の全事業所を巻き込んだ一大イベントとなっている。
とくに野球は近畿、東海、関東、中四国の各地区予選を実施し、本社に加え各地の工場やグループ会社なども含めた13チームが参加するという大規模なもの。地区予選を勝ち抜いた4チームが全国大会に臨み、優勝旗を争う。また、バレーボールは安城工場、徳島工場、大阪地区合同チームの3チームが参加する形となっている。
参加資格は全従業員。年齢制限もないことから、工場によってはバッテリーで100歳を超えるケースもあったという。昨年は徳島工場が野球で全国大会4連覇を達成。バレーボールも優勝し、アベック優勝を決めた。徳島工場は染色加工を手がけており、従業員に若い人が多いことが強さの要因のようだ。