《視点》統治と執行

2017/04/11 04:00 更新


 経営者の責任は重い。単に事業を維持できればいいという時代ではなく、成長に向けた戦略を打たねばならない。特に、上場企業にとっては「企業価値」が問われ、それを株主に評価されなければ、いつその座を追われるかもしれない。

 企業価値と言っても、売り上げや利益だけでは図れない。どんなに業績がよくても、どれだけ社会に貢献しているか、あるいは社会的な責任を果たしているかも問われる。しかも、こう

した貢献や責任の範囲はグローバル経済のなかでは国内だけにとどまらない。

 近年、「統治」と「執行」を分ける考え方が主流になってきたのも、こうした経営環境の変化が背景にある。持ち株会社への移行や執行役員制度の導入も、

こうした考え方を取り入れたものだ。ただ、実際には持ち株会社と主たる事業会社のトップを兼務する、あるいは社長と執行役員の両方の肩書きがあるトップも珍しくはない。

 グループの統治と現場の事業の執行、それぞれは別の能力であろう。むろん、スーパー経営者の存在は否定しないが、両方ができるという「過信」も散見される。

 最近の経営トップを巡る事件も背景にはそんな事情があるのかもしれない。(矢)



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