《視点》名古屋飛ばし

2020/04/23 06:23 更新


 7都府県を対象に出された政府の緊急事態宣言に愛知県が入っていなかったことから浮上した「名古屋飛ばし」に懐かしい思いが湧いた。小売り分野を担当していたころ、有力なテナントが東京や大阪に次いで福岡や広島に先に出店したり、名古屋には来なかったりして、百貨店やSCの取材で聞いたのが名古屋飛ばしだった。

 1980年代にコンサートやイベントなどが名古屋を含む愛知で開かれなかったことからささやかれ始め、90年代になって新幹線のぞみ号の一部が名古屋駅に停車しないことを巡って生まれたフレーズとされる。感染者数が全国で5番目(発令時点)なのに緊急事態宣言の対象にならなかったことが〝名古屋人〟を刺激し、再び聞かれるようになった。

 イベントにちょうどいいホールがなかったり、運行ダイヤや経済性との関係だったり、マーケティングの結果を優先したりと〝飛ばす〟理由もあったのだと思う。

 いよいよ緊急事態宣言は全国に拡大された。感染を抑え、困っている人に手を差し伸べ、終息後の経済活動の再開に備えるには全国的な協力が要る時になった。

(近)



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