近頃、経済誌で日本のデフレや円安をテーマにした特集が続いている。『週刊ダイヤモンド』は「安すぎ日本―沈む給料、買われる企業」、『週刊エコノミスト』は「安い日本―超円安時代」を掲げ、日本の課題を浮き彫りにしている。
景気低迷が長引く中で消費者は「安いことは良いこと」と思い込んできたが、気づけば20年も賃金が上がらず、日本は成長しない国になってしまった。いわゆるデフレスパイラルだ。
平均賃金は今やOECD(経済協力開発機構)平均を下回って米国のおよそ半分、韓国よりも下に位置する。
日本が鎖国経済なら「賃金は安いが暮らしやすい」と言えるのかもしれない。けれど日本は食料、エネルギー、資源いずれも外国に頼っている。国際価格の上昇は円安下でもろに響き、価格に転嫁しなければ産業は成り立たない。コスト吸収の涙ぐましい企業努力は称賛されるべきものだが、世界的にみて異常なほどに賃金上昇が抑制され、経済が縮小してしまうのでは本末転倒だ。
アパレル業界では〝プチプラ〟に象徴される低価格トレンド(?)が続いているが、安値競争は果たして持続可能と言えるだろうか。みなさん、そろそろ価格を見直しませんか。
(恵)