繊維・ファッション業界はサプライチェーンの各段階において、それぞれの職能者が高い技術と知識・ノウハウを持ちながら、分散して存在している。この優れた〝属人性〟が連携することで産業が成り立ってきた。しかし、コロナ下においては、対面による情報収集が難しくなった。新しいコミュニケーションツールを使って、いかにこれをカバーしながら、効率化を図るかが喫緊の課題として浮上した。
そこで、にわかにDX(デジタルトランスフォーメーション)が注目されることになった。業界ではコロナ禍を経て、一層のQR・多品種小ロット対応が求められ、円安とコスト高、物流費高が追い打ちをかけている。従来型の業界構造の非効率な多重構造では成り立たない企業が多く現れており、DXによる効率化、合理化が不可欠な状況となっている。
だが、忘れてはならないのが、個々のプロフェッショナルを生かす〝属人性〟だ。
人が介在する、ここに付加価値を生み出す利益の源泉がある。デジタルのプラットフォームを活用しながら多様な技術やノウハウ、才能を〝つなげる〟ことがファッション業界におけるDXの在り方だと考える。
(民)