《視点》リアルで楽しめるように

2021/12/10 06:23 更新


 22年春夏物の展示会が開催されている。会場にはバイヤーの姿がこれまで以上に見られ、久しぶりのにぎわいのように感じられた。全国で緊急事態宣言が解除され、東京への出張などがしやすくなったようで、「1年半ぶりに東京に来ました」などの会話も聞かれた。

 コロナ下で、オンラインの活用による展示会や出張に行かなくても発注できる仕組みが成熟しつつある。だが、実際に見て厳選して発注した商品は「店頭に並んだ時も思い入れが違う」という専門店も。会場でバイヤーがうれしそうに、楽しそうに商品を手に取り、試着する姿は、やはりリアルで商品を確かめたいとの雰囲気が伝わってくる。

 ブランドではDtoC(メーカー直販)が増えているが、期間限定店を出店することも多い。「実際に見たい」などの要望に応えるためだ。便利で効率的なオンラインの活用は増えていくだろうが、ファッションは実際に見て、選ぶ楽しみや試着するなどで気分も上がるもの。EC販売を強化する企業でも「リアル店は重要」と考えている。

 冷え込みもあるが、消費者の購買意欲が高まっている。オミクロン株で先行きの不透明さも懸念されるが、さらにリアルの場でファッションが楽しめる環境や雰囲気になっていくことを望みたい。

(伸)



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