《視点》魅力を加工しない

2022/02/16 06:23 更新


 〝ダサいポスター〟の話題を、ツイッターで2、3カ月に1度は目にする。海外の映画作品を日本国内向けに宣伝するポスターだ。コロナ禍でオンライン配信プラットフォームが盛況な今、ドラマ作品を含めた配信用のサムネイルなども時にやり玉に上がることもある。いずれにせよ、大胆なアレンジは悪名高い。

 その特徴は大きく2点。キャッチコピーなどの文字情報を大きくかつ多く加えることと、メインビジュアルを加工すること。他にもタイトルロゴや配色を恋愛作品ならピンク系統にするなど、デザインから受ける印象を大幅に変える。

 国内版ポスターを「ダサい」という人の多くは、作品の世界観を損なうことに反発する。独自のデザインで作品の良さを引き出すならまだしも、仕上がりが野暮ではローカライズとは言えない。

 消費者による等身大の率直な発信がマス媒体と同等かそれ以上の宣伝になる今、作品の魅力を加工せず伝えることのほうが喜ばれると言えるだろう。せっかくのアレンジの手間に反し、消費者の批判が発信されては費用対効果が良くない。

 ファッションブランドも同様だ。商品であれ宣伝であれ、どんな場面でも世界観の魅力を加工せずに反映することを心掛けたい。

(稜)



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