近年、欧米を中心に「修理する権利」が注目されている。スマートフォンや電化製品、自動車などが故障した際、メーカーに頼む以外に、ユーザー自らが修理したり、好きな修理業者を選べるよう選択肢を提供するというもの。
製品の故障時期をコントロールしているとする〝ソニータイマー〟なる都市伝説もあるくらいだが、「メーカーに依頼して高額で修理するよりは、新品を買うほうが安上がり」という経験は誰しもあるだろう。
米国では昨年、修理する権利に関する法律が連邦取引委員会で可決され、EU(欧州連合)でもサーキュラーエコノミーの一環としてこの権利を位置づけ、欧州議会が関連法を採択した。いずれも製品仕様を開示したくないメーカー側の反発は大きいが、消費者保護や製品長寿命化の観点から対応が求められることになる。
電化製品などと比べると安価な商品も多いアパレル製品では、さすがにそこまでの法規制はされないとは思うが、パタゴニアのホームページに「ウォーン・ウェア」という特設サイトがあり、感心させられた。
そこには生地が破れたり穴が開いたジャケットの補修方法や、ジャケットのファスナーの交換方法などが写真付きで詳細に紹介されている。まさにユーザーの修理する権利に応える取り組みである。
(恵)