《視点》AIの創作物

2022/09/13 06:23 更新


 ここ1カ月、ツイッターのタイムラインに、AI(人工知能)の生成したイラストが毎日のように流れてくる。油彩調や水彩調、写実的、誇張的、人物画、風景画と〝作風〟は多彩だ。見た目の整合性がAI生成と思えないほど高いものも多い。

 使い方は簡単だ。ユーザーが表現したい内容を言語で入力すると、それに合わせたイメージが、1分もしないうちに表示される。いくつかのサービスはネット上で一般公開され、会員登録が不要なものもある。

 このように、〝創作物〟を生成するAIは実用に足る精度に近づいている。昨年末には、日本の個人が開発した小説生成AIを多くの人が楽しみ、生成された文章の自然さが注目された。技術の進歩が歓迎される半面、誰もが気軽に使えることもあり、クリエイターを職業とする人の脅威になるとの懸念もある。ファッション分野も無関係ではないだろう。

 しかし、差別化のカギであるコト消費では、作り手の思いや制作背景といったストーリーで消費者の心をつかむ。それこそが生身のクリエイターの強みであり、どれだけ進歩したAIにも奪えない市場価値だろう。ファンは作り手の人間性も見ている。

(稜)



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