AI(人工知能)の社会実装にまた新潮流が来た。以前、イラストや小説といった創作物の生成について触れたが、今は対話のように受け応えする文章生成AIの試用が盛り上がっている。グーグルがテスト運用中の「Bard」などが挙げられるが、日本のSNS上で話題なのが「チャットGPT」だ。Q&A方式での使用が主流で、質問に応じた回答が返ってくる。
注目を浴びる理由は、生成する文章の自然さに加え、内容の説得力にある。同僚の話では、あるビジネスコンサルタントが想定される顧客からの質問をチャットGPTに投げかけると、自身の考えと非常に近い答えが返ってきたという。しかし、検索エンジンのように信用するのは慎重になるべきだ。回答は学習データから導かれるため、学習していない事柄については事実と異なる内容が生成される事例が少なくない。文章の精度が高い分、誤った内容でも論理的な印象を受け、信じてしまうリスクが高い。
2月にはBingに、チャットGPTに使われるAIのシリーズの進化版が早期アクセス版として搭載された。返答の内容が向上しているものの、まだ発展途上だ。ユーザーのリテラシーもより高い水準が求められる。
(稜)