日本の婚姻件数は1970年に100万組を超えていたが、23年は戦後初めて50万組を下回った。少子化さもありなんといった状況だが、リクルートのブライダル総研によるとウェディングイベントの実施率は78.6%と2年連続で増加し、コロナ前水準近くまで回復している。
しかしイベントの主流であるホテルでの披露宴は減少傾向が続いたままだ。あるホテルの婚礼関連の責任者にその要因を聞くと、ウェディングのあり方が多様化したのに、ホテル側がそれに対応できていないからだという。〝ウェディングとはこうあるべきもの〟という固定観念が変化を阻んでおり、問われるのはウェディングを作り上げていくホテル側の問題意識と提案力だと。
〝あるべき〟が硬直化する思考停止だけならいいが、それが誰かをつらい目に合わせていることもある。LGBTQ+(性的少数者)や障害者が生きづらい世の中はまさにその表れだろう。誰もが幸せになる権利を頭の固さが阻んでいないか。自らを問い直すことが課題解決の第一歩となる。
(樹)