《視点》老舗の生まれ変わり

2025/11/04 06:23 更新NEW!


 明治時代に生まれた老舗バッグブランドがリブランディングを進めている。80~90年代にかけて女子大学生を中心に支持を集めたそうだが、最近は顧客の高齢化が進んでいた。

 ブランドが好きで新卒で入社し、販売員からキャリアを積んできた当時20代の女性社員をディレクターに抜擢し、M・Z世代向けのアパレルラインを立ち上げた。そこでは長年使われていたロゴは使わず、新たに作ったロゴを採用し、ショッパーも変えた。店舗もアパレルを起点としたコーディネート提案型に切り替えた。

 すると、狙い通り若年層の客が増えてきたといい、手応えを得た経営陣は従来のロゴを全面的に、アパレルラインで作ったロゴに変更することも検討したという。

 しかし、当のディレクターはその考えには大反対。そのブランドらしさを残したいという思いからの判断だという。

 歴史を積み重ねたブランドが新たな未来を作るべくチャレンジすることは価値がある。一方で、チャレンジする時に、歴史を尊重し、出発点と矛盾しないということも大切なのではないかと思った。

(朗)



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