14~15年秋冬のメンズヒット番付は、寒さの本格化が遅れたこともあり、中間着やブルゾンの売れ行きが先行した。好調だったのはインナーダウンのほか、チェスターフィールドコートやオーセンティックなブルゾンだ。インナーは秋の立ち上がりにハイネックのカットソーなどが動いたが、11月以降は編み地変化のあるニットが主力となった。ボトムはリブ付きのイージーパンツが春夏に続き人気だった。シューズではスニーカーが売れ続けている一方で、サイドゴアやジョドパータイプのブーツがカジュアルのハズしアイテムとして売れ始めた。
[総評]
カジュアルスタイリングの軸は春夏に引き続き、ストリートミックス。オーセンティックなアイテムを無造作に組み合わせるトレンドが主流だった。トップになったインナーダウンは、セレクトショップのほか大手SPA(製造小売業)も仕掛け、販売量が一気に拡大。チェスターフィールドコート人気はマス層に広がった。MAー1は、タイトめからビッグシルエットまで、サイズ感のバリエーションをしっかりそろえたショップでの売れ行きが顕著だった。
[横綱]インナーダウン
昨シーズンは、一部アウトドアブランドの商品の人気が目立ったが、今秋冬はセレクトショップのオリジナルや別注のほか、ユニクロまで、一気に提案が増えた。ベスト、半袖、長袖などバリエーションがあるため、本来のニット代わりの中間着としてだけでなく、秋口の軽い羽織りアウターとしても売れた。
[大関]チェスターフィールドコート
ウール系の冬アウターの主役となった。ドレスアイテムをカジュアルダウンする今季のトレンドを代表するアイテム。前シーズンから人気が継続しているが、提案するショップやブランドが増え、マス市場への広がりが顕著だった。
[関脇]MAー1
ミリタリー系のブルゾンの中で、唯一売れたアイテム。今年はレディスでも広がっており、その流れがメンズにも波及した。ミルスペックの本格的なものではなく、アームや身頃を細くしたタイプと、大きめサイズをだぼっと着こなすワイドシルエットの二手に売れ行きは分かれた。
[小結]リブ付きパンツ
春夏に続きボトムの一番人気となった。秋冬は布帛のほかスエットやフリースなど素材を載せ替えたタイプも加わった。ウエスト部分のドローコードや裾のリブ部分といったスポーツウエアのディテールがミックスコーディネートの引き立て役として機能しているようだ。
[前頭一枚目]ライダーズジャケット
定番化しているシングルではなく、前立てがダブルになっているタイプがトレンドアイテムとして浮上した。「ショット」など本格ブランドとの別注のほか、値頃なオリジナルも見られたが、売れ行きはトレンドに敏感な層にとどまったようだ。
[前頭二枚目]ケーブル編みニット
シャギータイプやファインゲージではなく、編み地変化のあるセーターがニットの売れ筋トップだった。クルーネックでややボリュームのあるミドル~ローゲージが10月後半から売れた。
[前頭三枚目]アウトドア系ダウンジャケット
「モンクレール」に代表される艶っぽいブランドや「カナダグース」などレトロアウトドア系人気に飽きた層が買い始めている。次シーズン以降さらに売れそう。
[前頭四枚目]アンクル丈ドレスブーツ
カジュアルな着こなしのハズしとして、「レッドウィング」などラギッド系ではなく、ジョドパーズやサイドゴアなどドレス系のアンクル丈のドレス系ブーツが一部セレクトで動いた。
[caption id="attachment_62480" align="alignnone" width="640"] 写真左上=[前頭一枚目]ライダーズジャケット写真左下=[前頭二枚目]ケーブル編みニット
写真右上=[前頭三枚目]アウトドア系ダウンジャケット
写真右下=[前頭四枚目]アンクル丈ドレスブーツ