天池合繊「天女の羽衣」で舞う

2015/06/05 07:04 更新


 そよ風に舞うほど軽く、水のような透明感と光沢――薄く軽い衣料用合繊織物で知られる天池合繊の「天女の羽衣」が、スカーフ・ストールブランドとしても存在感を高めている。自社でプリントデザイン、染色加工、縫製まで手掛けるほか、刺繍などの後加工でデザインの幅を広げ、ファンを増やしている。

 天女の羽衣は、髪の毛の5分の1ほどの太さである7デニールのポリエステルモノフィラメントを使ったオーガンディ。1平方㍍あたりの重さは、わずか10㌘。5デニール の糸を使い、1平方㍍あたり5㌘も実現している。もとは産業資材用途で開発した素材だが、05年から衣料用に販売を始め、内外のトップブランドや舞台衣装向けに相次いで採用された。一方、特殊な素材だけに縫製に不安を持つ企業もあり、同社はミシンを導入し、最適な縫い針の大きさ、糸の太さなど、自ら縫製のノウハウを積み上げてきた。

 製品事業は、自社で縫ったスカーフが百貨店バイヤーの目にとまったことから始まった。今年で6年目。縫製にとどまらず、プリーツ加工機、デジタル転写プリント機、オリジナルの転写シートを作成する設備など、生産体制を拡充してきた。刺繍や絞り、レースなど新たな技法も積極的に取り入れ、デザインを進化させている。

 15年春夏の新作は、売りの一つである透明感を維持しながら、昨年導入した転写プリント機で色彩豊かに仕上げている。緯糸に打つシルクの本数を増やしていき、淡いグラデーションをつけたものは、首に巻いたときに、透明度の高い合繊高混率の部分とシルク高混率の部分が重なり、表情変化が楽しめる。合繊高混率の部分は、転写プリントで花や幾何柄をのせた。刺繍を施したり、リバーレースを縫い付けるなど、加工のバリエーションも充実した。



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