旭化成とカイタック、デニム共同開発

2015/09/01 16:09 更新


 旭化成せんいとカイタックトレーディングは共同で、デニム風の新素材を開発した。紡績、加工など両社の技術を融合した差別化素材で、百貨店アパレルやセレクトショップに向けて拡販を狙う。東京・北青山のポリゴンで15~18日、カイタックトレーディングが開く展示会で披露する。

 旭化成せんいのキュプラ「ベンベルグ」を使い、三つのデニム風素材を開発した。旭化成せんいがデニム用途に向く特殊紡績糸や加工糸を開発し、製織や後加工はカイタックトレーディングが中国に持つ工場で担う。

 一つは、インディゴ染めの糸を特殊な丸編み機で編んだニット。綾目が際立ったデニムの顔を持つとともに、全方向に伸びる快適なストレッチ性を備える。裏面にベンベルグの特殊紡績糸を使用し、肌触りの優しさも特徴。ボトム、ジャケット向けに提案する。既に、米国のプレミアムジーンズブランドで採用されており、今秋冬から店頭に並ぶ。

 二つ目は、ベンベルグ・ナイロンの複合糸「メープル」を使用した。接触冷感性と吸放湿性に優れる同素材を緯糸に、経糸に上質な綿を打った。しなやかでドレープ性があり、シャツやワンピースに推す。メープルはインナー向けが主用途とし、ファッション衣料への採用は初めて。デニムに向けて新たに120~150デニールの糸を作った。

 三つ目は、特殊紡績で高いキックバック性とホールド感を付与した。ベンベルグのほか、綿、ポリエステル、レーヨン、ポリウレタン複合とレーヨンなしの2タイプを揃える。ムラ糸を使用し、綿100%デニムのような表情を確保した。肌に当たる部分にはベンベルグを使用。ボトム、ジャケットに打ち出す。レディスだけでなく、昨今ストレッチ性のニーズが高まるメンズ市場も狙う。

 両社は、3年前から共同開発を進めてきた。カイタックトレーディングは同生地と同生地を使ったOEM(相手先ブランドによる生産)で初年度、ニットで3000反、織物で2000反の販売を目指す。



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