ビームスは「ビーミング・ライフストア」でのICタグシステムの試験運用を終え、全店舗への導入を進めている。16年7月までにアウトレット業態を除く全店舗で稼働させる予定だ。同8月からはアウトレット業態でも導入を始める。物流センターでの活用効果が大きく、店舗でも棚卸しや会計の業務での作業負担を軽減し、スタッフのモチベーションも高まっている。今後は業務効率化効果の拡大、自社ECの発送内製化に向けたセンター業務のさらなる効率化などに取り組む。
同社は12年秋にビーミング・ライフストアで試験運用を始めて同業態の利用店舗を広げ、今年2月から全ての仕入れ商品にICタグ装着を始めた。店舗への機器導入を月10店のペースで進めている。いっせい導入の方が効果は大きいが、機器手配、スタッフ教育の手間・コストを考慮した。アウトレット業態も大きな導入効果が期待されるが、在庫商品のタグ付け替えの負荷が大きいため先送りした。
物流センターでは、スキャニング業務の工程で作業効率が倍になった。出荷商品のパッキング作業など従来フローの工程の効率化による出荷キャパシティー向上が今後の課題となる。来春には外部委託している自社ECの発送業務を内製化するため、入出荷時に梱包を開けず、ICタグから読み取ったデータによって次の作業指示を出すフローに変更する。発送の自社化で改善サイクルのスピードを上げ、EC顧客へのサービスレベルを高める試みだ。
全店舗への導入はまだ始まったばかりで「棚卸しでの効果しか見えず、教育の段階」というが、9月導入したビームス新丸の内店では「棚卸しは楽になった」といい、昼時など混雑時に人員不足でも対応できるようになった。手間だった防犯タグの取り外しがなくなった効果も大きく、シフト調整も楽になった。こうした変化が導入店舗スタッフのモチベーションアップにつながっている。
全店舗稼働で効果を最大化することが当面の課題だが、将来的にはデータ収集・分析・活用が課題になる。どう活用すべきか、投資対効果を考慮した検討もこれから始まる