コロナ禍による外出機会の減少などから、福助の主力アイテムの一つでもあるストッキングの市場規模は大きく減少し、19年度、20年度と苦戦が続く。この間、本社移転、国内工場における異業種の生産強化など、構造改革を一気に進めた。ここにきて業績は復調、22年には創業140周年も迎え、次の時代に向けた企業成長を目指している。
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人々の肌に寄り添ってきた歴史生かす
――社長就任の感想から。
大卒後にトーメン(現豊田通商)に入社し、希望がかなって繊維原料部化合繊課に配属されました。長い時を経て、再び原糸と関係の深い仕事に就いたわけです。来たるべくして来た運命というか、天命を感じています。社長就任時には、若い時に親しくさせていただき、今は合繊メーカーの経営陣になられている方々から、「あの坂本さん?」という連絡をいくつも頂きました。ありがたいことです。
豊田通商の繊維事業部長時の約3年、取締役として福助を見てきました。事業内容は一定把握していましたが、やはり外から見るのと中で見るのとは、風景が全く違います。何よりも、自ら作ったものを自ら売るというメーカーとしてのだいご味は、外からでは分かりえないものでした。靴下、ストッキング、そしてインナーも、商品構造そのものは極めて単純です。使う原糸や編み方もある程度決まっています。しかし、原糸の選択、カバリング、撚り、テンション、セットなど様々な要素を、出来上がりの風合いをイメージしながら組み合わせ、技術を駆使して一つの商品を作り上げていく。一見同じような商品でも手に取って触ると明らかな違いが生まれる。時にオーバースペックかなと思うこともあるほど、創意工夫、物作りに込められた思いは、すごいものがあります。
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