神戸ファッション×ITで新サービス

2014/12/18 07:42 更新


 神戸市は、地場産業と全国のIT(情報技術)ベンチャーを結びつけ、新たなサービス創出と地域活性化を目指した「ファッションITイノベーションカンファレンス」(共催、トーマツ)を実施している。神戸市三宮で15日、第3回が行われ、「店舗経営×IT」をテーマに、ファッションアプリ「センシー」のカラフル・ボード、「スマレジ」のプラグラムなど4社が登壇した。

■一店から導入できる安価なPOS

 過去のテーマは第1回がO2O(ネットと店舗の相互送客)、第2回がEC(電子商取引)。今回は、店舗・ネット売り上げのデータ分析や、それらのデータを店舗運営に生かすノウハウが焦点となった。IT企業が持ち時間でプレゼンするピッチというスタイルを採った。

 プラグラムの山本博士社長はiPadを使って1店舗からでも安価に導入できるPOS(販売時点情報管理)システム、スマレジ経由の流通額が月間35億円、トランザクション85万件、商品数246万点と急増し、稼動数は約1500店になったと話した。クラウド化により売り上げデータをどこからでもアクセスできるのが特徴で、業界で唯一と言うサーバ稼働保証制度も設けている。

 毎月一つの色に絞って販売するECサイト・リアル店のIROYA(イロヤ)の大野敬太CEOは、返品ゼロの実績や月に数十件の店取り寄せのニーズを示し、色データの分析とリアル店の情報の掛け合わせ事例を紹介。商品委託も積極的に募り、フルフィルメント(ネット販売の一括対応)完備や出品簡素化サービス、消化率の高さを強調した。年明けにアプリをリリースする。

■人工知能でリーチ率が向上

 またデータマイニングのゼネリックソリューションの宮地七海執行役員は、「小売りが元々持っているデータをビッグデータ活用基盤で解析し、実際の売り上げにつながる具体的な活用術を提供する」とし、大手スーパーやコンビニの導入例を紹介。課金は成果連動型で、導入ハードルが低いのも特徴という。

 11月にリリースしたセンシーについてカラフル・ボードの渡部祐樹CEOは、人工知能がユーザーの好みを学習し、ユーザーのスタイリストとして機能すると説明。20代女性の実証実験で、お気に入り商品にリーチできた割合が、検索を利用した場合の11%から50%に向上したという。

 広がるネット販売市場で大量の情報からどうお気に入りを見つけるかが、今後数年の課題と指摘し、「ブラウザー代わりにセンシーを用いることで、提携ECサイトへの送客や買い上げ率向上で需給ギャップを解消できる」と語った。掲載ブランドは2000に達し、年内にゾゾタウンを超える見通し。今後、位置情報を使った店舗への送客や雑誌のアイテム特集などをユーザーの好みで編集し直すコンテンツ、登録商品が値下げ時にお知らせが届く機能を加える。

◇◇◇

 IT企業からのプレゼンのあと、各社のサービス導入や市内の店舗との連携について意見交換し、参加事業者と交流した。神戸市は市民に行政データを公開するオープンデータや岡本商店街でのアイビーコンの活用実験を行う計画を立てているなどデータ・IT活用に積極的。次回は15年2月に開催し、テーマは「海外×IT」を予定している。

右上から時計回りに、プラグラム山本氏、イロヤ大野氏、ゼネリックソリューション小西氏、カラフル・ボード渡部氏
右上から時計回りに、プラグラム山本氏、イロヤ大野氏、ゼネリックソリューション小西氏、カラフル・ボード渡部氏

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