《めてみみ》攻めのインバウンド

2025/07/29 06:24 更新NEW!


 百貨店のインバウンドが失速している。前年に伸びた反動や円高の影響だ。正常値に落ち着いたとも言えるが、改めて顧客の囲い込みが問われる。為替など外部環境に左右されず、需要を自らコントロールする次のフェーズに向けた戦略が欠かせない。

 固定客化に向け重要なのがCRM(顧客情報管理)だ。三越伊勢丹は海外顧客向けアプリを25年3月に始めた。各店の情報を閲覧できクーポンも発行する。年間100万人のペースで会員を獲得しており、海外顧客の識別化を推進する。大丸松坂屋百貨店はインバウンドCRMシステムを25年2月から、本格スタートした。顧客情報を一元管理し、買い上げ金額、頻度に応じた施策を強化する。

 海外富裕層とのつながりを強める動きも本格化している。高島屋はシンガポール高島屋のVIP客1500人を対象に、専用会員カードの運用を日本橋店、大阪店、京都店で24年12月にスタート。外商サロンや免税手続きの優先サービスなどを受けられるようにした。25年度は上海、ホーチミン、バンコクに拡大する。同様に阪急阪神百貨店は中国・寧波阪急の海外VIP会員対応を拡充、相互送客する。ラウンジ利用や店内アテンドを通じて顧客化につなげる。

 各社とも一人ひとりに合わせた商品、サービスの提供や双方向のコミュニケーションに注力、守りから攻めへの転換を急ぐ。



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