民家や商業施設など日常生活圏へのクマの出没が各地で報じられている。不安が高まっているのは山間部だけでなく、多くの人が行き交う中心市街地の出没が相次いでいるためだ。盛岡市は、行政庁舎や金融機関のビルが立ち並ぶ中心街。秋田市では、秋田駅から徒歩圏内の千秋公園に出没した。
同時期に記者の住む地域でイノシシの目撃情報が複数あった。けが人や物的被害はないが、市や警察は住民に注意を促している。東京湾沿岸部の住宅街で周辺に森林が全く無く、野生動物に出会う機会さえなかっただけに驚いた。クマに比べれば深刻度が低いかもしれないが、決して他人事とは思えない。
クマが出没した地域では日常生活が脅かされており、観光や経済で幅広いマイナスの影響が出ている。市や警察はパトロールの強化や猟友会とも連携して捕獲・駆除の体制を強化して厳戒態勢を敷くが、住民は不安を募らせる。すでに中心商店街への来街者が減少している。
前述の中心市街地にある川徳(盛岡市)や西武秋田店では自動ドアを手動に切り替えたり、出入り口を絞って被害を防ぐ対策を講じた。来店客や従業員の安全確保を最優先に、迅速な対応が求められる。川徳は年間最大のイベント、えびす講を今週末に控える。年末商戦への影響も懸念される。〝非常事態〟の一刻も早い終息を願う。
