スウェーデンのジーンズカジュアルブランド「ヌーディージーンズ」はジーンズだけでなく、トップも含めて100%オーガニックコットン使いを貫く。消費者にジーンズを長くはいてもらうため、ジーンズを無料で補修するリペアサービスも実施している。「ブランドとして拡大・成長していくことは当然望んでいるが、ブランドとしての責任を持つことが大事」と語るパレ・ステンバーグヌーディージーンズCEO(最高経営責任者)に聞いた。
(播岡尊文)
――ヌーディージーンズは06年にジーンズをすべてオーガニックコットン100%使いにすると宣言し、12~13年秋冬物でそれを達成した。
ジーンズで大事なのは、フィッティング、そして社会的責任を持った製品を作ることです。ですから、ヌーディーはジーンズだけでなく、トップも含めてすべてオーガニックコットン100%使いにしました。
オーガニックコットンは農薬を使わないので、農家の人たちの健康を守るという意味を持ちます。ただし、ヌーディージーンズの染めには化学染料を使っています。100%オーガニックなものを作ることが目的ではありません。
ヌーディーは欧州の工場で生産していますが、生産する工程で何物もムダにしないようにしています。最近では加工で水などを使わないジーンズを打ち出しています。水を使っても排水をフィルターに通して再利用したり、レーザー加工を用いるなど環境にやさしい生産を目指しています。
また、工場の監査を行うフェア・ウエア・ファウンデーションという組織の監査を定期的に受けています。大事なのは生産工程での透明性を保つことです。
――ヌーディージーンズは、無料でジーンズを補修するリペアサービスを実施している。
消費者にジーンズを買ってもらうというのは、ライフスタイルを買ってもらうということです。だから長くはいて欲しい。破れたり、穴があいたヌーディージーンズを直営店に持ってきてもらえれば無料で補修しています。もし消費者がもうはかないというなら、当社で引き取り、補修して中古品として販売します。はけなくなれば、リサイクルデニムとして、ラグマットなどに再生します。
――ヌーディーはどういうブランドを目指しているのか。
ヌーディーはジーンズブランドであってファッションブランドではありません。バッグなどアイテムをどんどん広げて売っていこうという考えはありません。
ヌーディーは自分の子供のようなものですから大事にしていきたい。単に売り上げの拡大を追求するのでなく、ハッピーであることが重要です。自分だけでなく周囲の人も含めてハッピーであること。自分がいなくなっても、それが続くこと。みんなをハッピーにしていく上で、地球環境保護の取り組みは重要です。
ヌーディーが売れるのはフィットの良さと、ブランドコンセプトへの賛同です。われわれがやっていることは小さなことですが、重要なことです。地球環境を守らなければ、未来はなくなってしまいます。