大阪ニットファッション工業協同組合理事長 荒井敏博氏に聞く 国内メーカーの事業継続は「崖っぷち」

2024/06/19 07:59 更新


荒井敏博理事長

 5月に大阪ニットファッション工業協同組合の理事長に就任した荒井敏博氏(安泰ニット代表取締役会長)。「円安が進んでもニット輸入は減らず、供給過剰が続く。原燃料をはじめとするコストアップに対し、価格転嫁も一部にとどまる。現状を放置すれば、何とか生き残ってきた国内メーカーでさえ、事業継続が難しい。まさに赤信号がともる崖っぷちの事態だ」と危機感を募らす。

 日本ニット工業組合連合会の23年のデータでは、枚数ベースの輸入比率は98.5%に達する。「SNSで話題の海外通販などの価格破壊的な商品は、競争の公平性という点で大きな懸念を感じざるを得ない。欧米では、こうした商品を規制する動きも出てきたが、日本は全く無防備な状況にある」とする。

 「ここまで放置してきた我々にも責任はある。それでも、安全保障上の観点や最低限の衣食住を守るという視点から、国産は残していかねばならない。困難は承知の上だが、国別輸入制限措置など何らかの輸入規制が本当に必要な時期だ。まずは大阪のニット工業協同組合の皆さんと話し合いながら気運を高め、その後は各地のニット工業組合とも連携していきたい。最終的には日本繊維産業連盟を通じての要請という形になるだろうが、諦めることなく、今一度輸入制限の具体化を訴えていきたい」と力を込める。

関連キーワードピックアップニュース



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事