きちんと仕事と向き合っている人の言葉には力がある。繊研新聞はそう考えます。
記者たちが取材の中で聞いた、ファッション業界で働く人たちの言葉を、繊研新聞ではこんな形でも読者の皆様にお伝えしています。
紙面に載ったインタビュー記事の中から、「至言金言」と記者が感じた部分を抜き出し、まとめて掲載しています。ごく短いフレーズから、経営者やデザイナーの考え方や、その人が世の中の流れをどのように捉えているかが、浮き彫りになっています。
今年に入って掲載した、いくつかの「至言金言」をここで振り返ってみましょう。
▼▼▼
我々の得意とするところは「お客の声に耳を傾ける」こと。
(18年5月21日付)
アマゾンジャパンバイスプレジデントファッション事業部門統括事業本部長のジェームズ・ピータースさんの言葉です。アマゾンはファッション分野強化の動きも目立つECの巨人ですが、ピーターズさんはECに「実店舗の売り上げが〝食われている〟といった誤解があるが、見るべきところは〝消費者の購入チャネルのシフト〟」と指摘。「消費者が購買チャネルを変えているならば、そういった客のニーズを追うことが顧客第一主義」。
僕自身がファッションの民主化の流れを信じているから
(18年4月12日付)
デザイナーのジョナサン・アンダーソンさんが、ユニクロとの協業をする理由について語りました。「自分のブランドは小さいけれど、とても高い商品もある。でも本来、服は排他的なものではなくて、誰でも手にできる包括的な存在であるべき。高級ブランドのデザインはやるけれどユニクロとは組まないという考えはない」。
若い時は夢はどれだけでも持てる
(4月27日付)
ギャルデコレクティブ社長兼デザイナーの真木喜久子さんが、本紙の定番企画「FBプロフェッショナルへの道」の「私が駆け出しだった頃」でこんな風に話しています。「自分の個性は、若いうちは分からないかもしれないが、なりたい、なれる、自分ならできると思っていていい。仕事一つひとつに『なぜ』と問いかけ、くどいほどに追いかけることで自分の専門性を磨き、強みを作っていくことが、その先につながるのではないか」。
「良いものであれば欲しい」という欲求は変わらない。
(1月1日付)
メルカリ執行役員プロダクトマネージャーの伊豫健夫さんの話です。国内ダウンロード数が6000万を突破したフリマアプリの「メルカリ」。売る前提で物を買う「リセール」(再び売る)は消費者の間で当たり前の行為となりつつありますが、CtoC(消費者間取引)が増えることで、「『もっとおしゃれや着まわしを楽しみたい』と、BtoC(企業対消費者取引)も拡大するはず」と考えているそうです。
技術は使いこなせないと意味がない。
(1月5日付)
ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さんは、デジタル化とグローバル化がファッション業界にとって成長の格好の機会と見る一方、「AI(人工知能)とかアルゴリズムとか言う前に、自分の頭で分析し、直感的に感じる力がないと。判断力がないのに情報だけ集めても無駄」とも話します。市場にモノやサービスがあふれる時代に「お客様や社会が何を基準に選ぶのか、結局それは会社の本質や心構え、生き方がどうあるかで決まる」。
いかがですか。ここで紹介したのは、記者が取材のプロセスで得た、業界で働く人たちに響く、いい言葉のほんの一例です。「至言金言」はこれからも、毎月一回、繊研新聞の「センケンカフェ」にて掲載します。
ご興味がおありの方は、この機会に是非、購読のお申し込みをお願いいたします。
▼▼▼