ダークなロマンティック
【ロンドン=小笠原拓郎】16~17年秋冬ロンドン・コレクションに、ダークな気分を乗せたロマンティックなスタイルが広がっている。ニューヨークの終盤に「マーク・ジェイコブス」が見せたダークなロマンティックが、ロンドンでも勢いづき始めた。ビクトリアンを含む厳格なエレガンスを、ラメ糸を織り込んだ生地で表現する。
「シモーネ・ロシャ」はラメツイードやラメジャカードを使いながらフェティッシュな空気も含む重みのあるエレガンスを作った。秋冬のキーワードとなったのは「洗礼、誕生、再生、ビクトリアンドレス、混乱、ほつれ」といったもの。光沢のある素材とレースやチュールの透け感を組み合わせて、得意のフレアラインを軸にして見せる。
ラメチェックのジャケットの上にチュールのドレスを重ねたり、黒いコートの上にラメの太いストールをラッピングしたり。レースやチュールのドレスは、もものあたりにポケットを膨らませたような量感で変化を作る。ラメツイードのドレスはギャザーでボリュームを作りながら、ほつれたディテールで生々しさを出す。
前シーズンの「緊縛」のフェティシズムほどストレートではないが、シモーネのクリエーションには常にダークな強さとロマンティックが混在している、それがフェミニンなシルエットと重なりながら独特のスタイルを作り出している。(写真=catwalking.com)