《視点》仕方ないでは済まされない

2025/07/31 06:23 更新


 繊維産地で働く入社10年未満の若手社員にアンケートを行ったところ、たくさんの本音を書いてくれた。集まった回答数は144件で、北陸や尾州からの回答が多かった。業種は生地メーカー、染色、縫製、商社など。職種は商品開発、技術、生産管理、事務、営業と幅広い。

 入社理由は、ファッションや染色、織物に興味や関心がある、学校で学んだことを生かしたいなど業界で役に立ちたい思いが多かった。

 一方、給料やボーナスが低い、休日が少ない、人手不足による過密労働などの不満が意欲を削ぎかねない。それでも働き続けるのはやりがいを感じているからだろう。好きな仕事だからという情熱と労働条件の不均衡が生じていることがわかる。企業は社員のやりがいに依存するのではなく、熱意に見合う報酬と成長機会を提供することが必要だろう。

 そもそも、製造業などは単価が上がらない、納期が厳しいなど、繊維産業の構造自体に課題があるのではないか。人を守り、人を育てる経営はどの業種でも行われるべきだと思う。

(坂)



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