アダストリア、売上高2100億円へ

2015/04/08 11:24 更新


 アダストリアホールディングスは6日、新中期経営計画「ACE(エース)18」を発表、最終年度の18年2月期に連結売上高2100億円、営業利益148億円を目指す。自社生産機能の活用や社内体制の整備でものづくりの差別化を推進。各ブランドの役割を明確化し、グローバルブランドとして育成する「グローバルワーク」「ニコアンド」に集中投資するほか、将来的に人口構成比の増加が見込まれるミドル~シニア層の開拓にも取り組む。

 前中計では、最終年度の15年2月期業績が、売上高1845億8800万円(計画は2000億円)、営業利益59億8100万円(同240億円)、営業利益率3・2%(同12%)と計画を大幅に下回った。トリニティアーツの統合効果、ウェブ販売の拡大などは貢献したが、海外事業の苦戦など、国内外の成長戦略が軌道に乗らなかったとする。

 一方、自社生産機能を生かした商品の差別化は、当初は混乱もあったものの、成果が出てきたと評価。グローバルワークは、生産・物流子会社のn9&PGを通じた計画生産による商品力向上や、ディレクター、デザイナー、マーチャンダイザーが連携して商品開発できる仕組み作りにより、15年2月期でブランド売上高300億円を突破した。

 新中計でも、全社として「店頭起点の小売り型SPA(製造小売業)」を掲げ、「作り手の都合ではなく、本当に顧客が欲しいものや差別化された商品を提供」(福田三千男会長)していく考えだ。生産・物流子会社のN9&PGは、今後はアダストリア本体への統合も視野に入れる。

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社内改革へ取締役に松下氏 執行役員制を導入 営業推進本部も新設

 新中期経営計画実行に向け、社内体制も改革する。市場環境に柔軟に対応し成長できる新しい社風を作り、執行役員制度の導入で経営の意思決定をスピードアップする。

 5月28日の株主総会後の新役員体制は、福田三千男代表取締役会長、松下正取締役、木村治取締役、社外取締役が倉重英樹、松井忠三、阿久津聡の3氏。取締役となる松下氏(顧問)は、弁護士資格を持ち、企業コンサルタントとしてファーストリテイリングの取締役など国内外企業の経営に参画してきた。消費市場変化、グローバルでの成長を見据えて社内改革を実行し、新しい社風を作っていく。

 さらに経営判断を早めるため、執行役員制を導入する。新年度から組織を変更、役員会の下に営業統括本部と管理本部を置き、営業統括本部下に6本部(営業第1=旧ポイント、営業第2=旧トリニティアーツ、営業推進、コミュニケーションデザイン=広告宣伝、戦略開発=店舗開発、生産)を設置。

 管理を含めた7本部それぞれに執行役員を置いて、本部内で決定できる項目は執行役員が判断、取締役会は重要案件に絞って判断する。執行役員人事は5月28日の承認後に発表する。

 新設の営業推進本部は、営業部隊の予算配分や管理本部からの指示に柔軟に対処して、景況や為替変動によって発生する企画・生産・販売の横断的課題を解消する。



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