アディダスジャパンと青山学院大学の学生が共同開発したバッグの販売が始まった。学内で本格販売する初日の17日には、学生自ら企画した販促イベントも開催。「アディダス」商品の開発や販促過程に一般消費者を巻き込むのは珍しい。
後期授業開始日となった17日昼、学内購買部の一角に特設ブースで協業商品の「コスメティックバッグ」のプロモーションが始まった。バッグを持って、青学のキャラクター・銀ニャンと写った画像を、指定されたハッシュタグを付けてSNS(交流サイト)にアップすると、先着順にソフトクリーム券をプレゼントする。交通量の多い場所とあって、約2時間で約80人の学生が参加した。イベントに関わった文学部英米文学科4年の玉井南実さんは「銀ニャンの起用は企画の前段階から考えていた」と明かす。イベント時に使ったPOP(店頭広告)は「段ボールで作った手製」(同・齋藤萌恵さん)という。
プロジェクトは、アディダスジャパンと青学が13年に締結したパートナーシップ契約の一環。14年9月に女性用スポーツアイテムの商品企画を公募し、32組・約100人の応募からプレゼン内容に優れた2組を選定。その後、約1年かけて具体的な開発商品についてミーティングを重ねた。
協業は双方に多くの収穫をもたらしている。開発したバッグは、開け口が底まで開いて置ける仕様で、両サイドには大小様々なポケットがある(2色、7500円)。全体のコンセプトやデザインは2者で協議して決めたが、ベルト部分を蛍光色にしたり、ポケットの生地を透明にするといった細かなディテールは学生案を採用した。アディダスジャパンの後藤理沙さんは「大人の場合、コストやロットにとらわれがちだが、学生はピュアな気持ちで大人が考えつかない新鮮な企画を提案した」と喜ぶ。
学生にも刺激に満ちた経験だった。当初はクラッチとリュックのツーウエーバッグを考えていたが、スポーツ要素が足りないとアディダス側に指摘され「学生らしさとスポーツブランドらしさを両立させることが大変だった」(同・井部千紗都さん)という。とはいえ、プロジェクトに本気で取り組むアディダス社員と接するのは成長につながったという。