岡田元也イオン社長の長男が今年、グループ企業に入社していたことが分かった。14日、本社の取材に岡田社長が明らかにした。量販店業界では80~90年代にダイエー、イトーヨーカ堂、ジャスコ(現イオン)の2代目の世襲が目立った時期がある。現在はセブン&アイ・ホールディングスの後継者問題が世襲と併せて取りざたされており、今後イオンも加わって様々な話題に上りそうだ。
岡田社長の長男Nさん(31歳)が入社したのは、都市型の小型スーパーマーケット・まいばすけっと(千葉、大池学社長)。研修を受けた後、今は都内の店舗で店長を務めている。Nさんは大学卒業後に渡米し、現地企業に勤めた。しかし、昨年退社し帰国していた。
イオン入りは「祖父の岡田卓也名誉会長と、岡田社長が入社を勧めた」「長男本人が『勧められたので入ることにした』と友人にメールしていた」(いずれも関係者)という証言もあるが、岡田社長によると「本人が望んで、(入りたいと)言ってきた。名誉会長は、入社するまで知らなかった」。
岡田社長は97年の社長就任時に「世襲は自分で終わり」と語ったが、「それは今でも変わらない」と断言する。世継ぎありきの入社ではなく、あくまで一般入社。後は本人の実力次第で、世襲と結び付けられるのは心外というわけだ。
岡田社長はミニストップ1号店の店長を務めたが、小型店の店長から始まるという点では、Nさんも同じ道を歩む。ただし、「外の飯を食ってきた」=他企業の勤務経験は、自分にはないものとして、プラスと評価。「給料は半分になったのに…」と話し、質問に答える最後は、すっかり柔和な父親の表情を見せていた。