スポーツライン、雑貨加え
アニエスベージャパンは9月30日、松屋銀座本店が新規にオープンする別館「マロニエ通り館」の1~3階に、準旗艦店と位置づける新店「ルー・デュ・ジュール」をオープンする。「アニエスベー」の全ラインを揃えるほか、日本初登場のスポーティーカジュアル「スポーツベー」とセレクト雑貨の「ラ・メゾン・スールロー」を加え、カフェも併設する。アニエスベーが今年ブランド創立40周年を迎えたこともあり、今回の出店を軸にブランドイメージを改めて確立、発信する。全体の出店、商品政策の見直しも進めており、売り上げは前年比2ケタ増のペースで伸ばしている。
新店のルー・デュ・ジュールは、同社としてはこの10年で最も大きな取り組みとなる。店名は1975年にパリにオープンした1号店があるジュール通りから取った。アニエスベーのブランドの精神を改めて発信していこうというものだ。同社の竹原誠COO(最高執行責任者)は「フランスらしさではなく、フランスそのものを表現していく」とする。これまで売れ筋迎合型の商品ラインや売り上げ規模の追求など模索があったが、デザイナーの目指すものとコレクションを正確に打ち出すことで、ブランド全体を活性化する。「反省に基づいた出店」(同)でもある。
新ライン、カフェも
3フロアの総売り場面積は545平方㍍。アニエスベーのファム(レディス)、オム(メンズ)、アンファン(ベビー・キッズ)、ボヤージュ(バッグ)と「トゥービー・バイ・アニエスベー」(シスターライン)が揃い、初のスポーツベーも入る。スポーツベーは香港や台湾で販売されている現地企画の人気のライン。銀座という立地から、旺盛なインバウンド(訪日外国人)需要にも応える。
1階に入る初のカフェ「ル・カフェ・デュ・ジュール」は、コーヒー専門店「オブスキュラ・コーヒー・ロースターズ」が監修し、本格コーヒーを提供する。店舗デザインは、サポーズデザインオフィスが手掛ける。
デザイナーのアニエス・ベー自身が選ぶインテリアグッズのラ・メゾン・スールローには、新進アーティストの作品や世界の民芸品なども並ぶ。
また、10月14日には大丸心斎橋店の店をリニューアルオープンする。路面の2層で面積は約300平方㍍。
ボヤージュが好調
ブランド別では、バッグのボヤージュが好調だ。全売り上げの2割弱をインバウンドが占める中、特にこのボヤージュがインバウンドに強い。レザー企画の拡大などで、今後は国内の客の獲得にも力を入れる。
ファムは、ブランドの根幹であることから、コレクションをさらに色濃く見せていく。オムもゴルフラインを中止するなどコレクションのイメージを強化。認知度向上も重点とする。
アンファンはギフト需要を中心に安定した人気がある。世界全体の売り上げのうち日本市場が9割を占めており、既存の売り場のほかギフトコーナーへの進出も検討している。
日本企画で若い世代を狙って出発したトゥービー・バイ・アニエスベーは、アニエスベーを知らない客もつかんできた。ただ、認知度はまだ低いため、今後は若い人たちが買いやすいSC、ファッションビルでの期間限定店などに取り組む。
来春は40周年のショーをデザイナーが来日して行う予定だ。本国も日本市場をアジアの発信基地として再び重視している。