コス・キョウト 地場産業向けコーディネートが軌道に

2018/01/12 04:24 更新


事務所1階に開設したショップ

 全国の地場産業を対象にしたビジネスコーディネートを手掛けるCOS・KYOTO(コス・キョウト、京都市、北林功社長)の事業が軌道に乗ってきた。繊維分野を中心に多様な素材、製品での支援事業が進み、国内だけでなく海外市場に向けた取り組みも拡大しつつある。

 同社は、国内産地で培われてきた技術や素材をマーケットの変化に合わせて進化・融合させる取り組みを通じ、素材開発や製品化、販路開拓をコーディネートしている。「地場産業の自律・循環・継続を意識」(北林社長)し、国内外で新しい需要を創出して従来にないビジネスモデルの構築を支援しながら、産地の活性化や発展への寄与を狙った。

 その内容は、単なるコンサルタント的な運営にとどまらず、マーケティングからデザイン支援、ビジネスの仕組み作り、ファイナンスの背景作りまで幅広く、産地の企業や職人との共同の物作りや販売活動も進める。自ら資本を投じたオリジナル商品で卸売りするケースもあり、「作り手と店頭の伝え手、そして使い手」の3者を一本につなぐ役割も果たす。

 設立して5年、生産の海外移転や長引くアパレル市場の苦戦の中で、自立を目指す全国の地場産業を担う企業などからの依頼が徐々に広がり、今ではメーカー約50社の100以上のアイテムを取り扱うまでになっている。約半分は繊維素材分野で、和紙や木、金属工芸、ハイテク素材などに分野が広がっている。西陣の伝統技術の引き箔(はく)がシャンデリアやインテリアなどの建築内装用途に使われたり、柔道着の素材を帽子やバッグの分野に広げるなど、市場の開拓で売り上げに結実した例も相次いでいる。

 素材や開発製品の卸、ネット販売も手掛け、1年前には事務所1階にショップを開設し、製品の店頭販売も行っている。さらに米ロサンゼルスとポートランドでは産地企業の素材を用いた製品を販売する現地のセレクトショップとの取り組みも進んでいる。4月中旬には伊ミラノで開催されるデザインウィークに合わせ、京都府内の産地企業3社の素材や製品を現地のショールームで展示する予定だ。国内では有力百貨店での販売も本格化しつつある。

 「地場産業は日本固有の資源。新たなビジネスモデルや販路開拓を進めることで、その可能性はまだまだ広がる」として、日本全国の産地企業の素材紹介や製品の共同開発・販売を進め、地場産業の支援事業を強める。



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