神戸レザークロスはレディスシューズ専門店「エスペランサ」で15年秋冬から、市場変化対応型の品揃えをやめ、プロダクトアウト型の製造小売に切り替える。競合が激しい分野で勝ち残るには、ブランディングを重視し、消費者にエスペランサの特徴や価値をわかりやすく伝えることが必要と判断した。
新しいエスペランサは国産100%路線を維持しながら、「(木型、アッパー、ヒールなど)資材から靴を設計する会社のヤングレディスシューズ専門店」(齋藤伸介社長)を打ち出す。これまでは変化を先取りするため、市場や立地に合わせ次々新商品を投入してきた。年間約1200もの新商品を企画し、売るべき時に商品がない機会ロスを起こしていたという。3~7月のエスペランサの売上高が前年比6・3%減となったこともあり、改革に踏み切る。
そのためまず、商品は年間250型と大幅に減らし、全店共通の60型を決める。半年前から企画し、3カ月前に発注の計画MDとする。これに合わせ広告、告知、販売促進も計画を組む。発注先靴メーカーは10社ほどとし、さらに絞り込む方向とする。価格は据え置く。8月下旬に投入した秋物は型数を絞った成果が表れ、都心店を中心に売り上げが伸びているという。
MD改革の第1弾として、サイズを統一した。木型は自社開発品だけを使うようにし、同じ23㌢でも型によってサイズが異なる状況をなくした。新しい機能的なインソールも開発予定。今回の改革を店頭で消費者に伝えるため、生活シーンごとの編集を進め、お薦め商品を前面に出す。いずれもファッション性と機能性を融合させる。
今春、大阪のルクアイーレに出した新業態「ベストメイド・エスペランサ」は、日本各地の産地の生地と最新製造技術を融合することで新商品を生み出そうとしている。ここでの成果をエスペランサにフィードバックすることも念頭にある。
来年はエスペランサがスタートして50年。靴の設計という独自技術を生かすことで、「本当の意味での一気通貫の製造小売を目指す」と齋藤社長は話す。