ネットとリアルの統合日本でも ザラにRFID導入 ザラホームのネット販売も
スペインのインディテックスは、日本で「ザラ」の店舗大型化を進め、グループの他業態でも出店を拡大する。ネットと実店舗の販売を統合した仕組み作りも強化する。今秋からザラの各店舗でRFID(ICタグ)導入、「ザラホーム」のネット販売も5月から開始する。
15年1月期業績は増収増益だった。ヘスス・エチェバリア広報本部長によれば「欧州、米国、スペインが増収で、アジア地区も好調。特に中国、韓国、日本の売り上げが伸びた」という。日本での店舗数は15年1月期末時点で130を超えた。今期も16店を出す計画だ。
10日にはららぽーと富士見にザラ、ザラホーム、「ベルシュカ」「ストラディバリウス」も出した。日本での出店の7割を占めるザラでは、今後も新規出店は継続するが、既存店の大型化も進める。24日には池袋店を2フロアから3フロアに増床し、面積を1.5倍にしてリニューアルオープンする。ららぽーとTOKYOーBAY店も8、9月をめどに大型化する。
ザラの店舗のRFIDの導入は5月から準備を始め、9月から1年をかけて全店で運用する。入荷情報や在庫管理など店頭業務の効率化だけでなく、ネットを含む全店舗の在庫情報がどの店からも把握できる仕組みを作り、利用客にとっての利便性をさらに高める。
ザラに続き、5月からザラホームの日本でのネット販売も始め、「実店舗とネットを統合した買い物体験の提供を日本でも今後もさらに広げていく」考え。
エチェバリア広報本部長に聞くインディテックスの強み 店頭の声、世界から集めて即座に反映
ヘスス・エチェバリア広報本部長にインディテックスの戦略について聞いた。
――ネットと実店舗の統合を進めている。
ネット注文の商品を利用者が実店舗で受け取る率は、当社がネット販売を行っている全市場(27カ国・地域)平均で3割程度。実店舗を連動させ、利便性を高めることは、消費者との距離を縮める最適の手段だ。他のどの店でも味わえない買い物体験こそが顧客獲得につながる。日本でもさらに強化したい。
――RFID(ICタグ)も導入する。
ザラで導入を始め、現在7カ国、1200店にまで広がっている。今年は日本など5カ国に導入する。商品が入荷後すぐに把握できるだけでなく、在庫がどの店にあるか、店頭でのお客の問い合わせに即座に答えることができるメリットも大きい。
――15年1月期は主要市場すべてが売り上げを伸ばした。
全世界の店舗の販売動向が本社の顧客管理やデザインチームにリアルタイムで伝わる仕組みを我々は持っている。どこで何が売れ、売れなかったか、的確に把握し、次シーズンの企画や各市場での品揃えに反映できる。景気要因や為替変動の影響があっても、各市場で業績を伸ばせたのはこうした仕組みのおかげだ。
――競合の大手SPA(製造小売業)の存在をどう見る。
他社との比較で何か言うつもりはまったくない。市場で消費者の支持を得ている小売業やブランドにはもちろん注目する。だが、それは規模の大きい企業ばかりではなく、小規模でも良い商品を提供し、価値を認められている企業の場合だって当然ある。謙虚に学び、顧客の望む商品を誠実なサービスで提供することが今後の成長のカギだ。