サンフランシスコに「ジンズ」米1号店を開設
アイウエア製造小売りのジェイアイエヌは10日、「ジンズ」の米国1号店をサンフランシスコに開設する。国内外合わせて330店目で、売り場面積約455平方㍍の最大店舗。グローバル旗艦店と位置付け、今後は米国などで店舗を増やす。同時に米国向けEC(電子商取引)サイトを開設し、ECサービスも開始する。
ジンズの店舗数は3月末時点で国内281、中国48の計329。他の国や地域でも受け入れられると判断し、米国でのグローバル旗艦店出店を決めた。
立地はサンフランシスコの中心街、ユニオンスクエア。周辺にはユニクロほか、世界の有力ブランドや百貨店が並ぶ。店舗はワンフロアで米国西海岸風のゆったりとした作り。レンズ自動加工機の進化版で、1時間に63本分の眼鏡レンズを加工できる「カンナ」を設置。会計から30分で商品を提供する。
商品は常時1200種類を揃える。多様な人種・骨格に対応するため、鼻が高い欧米人向けのスタンダードと、アジア人向けのオルタナティブの2タイプで構成。既存品番以外に米国別注モデルも販売する。均一価格で、視力矯正用はレンズ込みで60、80、100、120ドル、サングラスは50、70ドル。
実店舗に合わせ、ECサイト「ジンズオンラインストア」も開設。全米向けに1200種類以上の商品をネット販売し、受注から2~6日で配達する。
米国の眼鏡市場は推計で約2兆3800億円、日本の約6倍で拡大傾向にあるという。米国では眼鏡の価格は300ドルほどで、購入から納品まで1~2週間かかるのが一般的。品質の高さに加え、価格とスピードを武器に1号店の基盤を固め、米国内でも店舗網を拡大していく。
新ブランドMDを始動 春から商品、店頭で具現化
眼鏡専門店「ジンズ」を運営するジェイアイエヌは今春から、新しいブランドビジョンに沿って商品や店頭などMD全体を変更する。目指すのは全ての年齢層と生活様式、ニーズに対応できるブランド。9日から始める今春夏のキャンペーンでも、新たなブランドの方向性を体感できるルックブックや映像を使い、新生ジンズの発信を強める。
同社は01年に1号店を開設し、自ら生産から販売まで行う製造小売業方式を採用して眼鏡の低価格化を実現。季節性や流行を取り入れてファッション商品として普及するとともに、視力に問題のない人も対象としたパソコン用眼鏡を開発し、市場を拡大してきた。発信拡大路線から次の成長段階を目指し、同社が提供する価値をより明確にするため、方向性を定義し直したのが昨年5月。新ブランドビジョンでは「人々の人生を拡大し、豊かにする」と掲げ、あらゆる年齢層と生活様式、広いニーズに対応できるブランドを志向。斬新さに加え、共感しやすさと分かりやすさを重視するMDに改革中だ。
商品は視力矯正用のカジュアル、フォーマル、スポーツ、クラシック、子供、非視力矯正用のサングラス、パソコン用など8分類に再編した。人気商品中心の構成で随時、入れ替えていた品揃えは、定番品を幅広く揃えて季節商品やトレンド品を差し込む手法に変更。店頭ではインパクト重視から、「個々の人生への共感を重視するVMD」に変え、陳列もシリーズ別から生活様式別や機能別に変更した。販売員教育も強化し、時々のお勧めの紹介でなく、個別の要望を引き出す接客に切り替えた。
今月中に各店の6割を新MDを基にした商品構成に刷新する。9日からは「見つめているすべてが、人生だ。」とうたったカタログや映像を使い、今春夏のキャンペーンを開始。店頭やウェブを通じ、新しい方向性を発信していく。