【ニューヨーク=杉本佳子通信員】良品計画は20日、ニューヨーク5番街の41丁目に「MUJI」の北米旗艦店をオープンした。これで、ニューヨークのMUJIは5店になった。全米では「MUJI・TO・GO」1店を含めると11店目となる。新店は1階が約300平方㍍で、地下は780平方㍍。入り口に設置された大きなウールのオブジェがインパクトを与え、アロマラボのディフューザー(香りを拡散させる器具)から良い香りが漂う。
旗艦店は、この店のみの独占販売商品とカスタマイズできる商品が充実している。特定の土地で長く使われてきたものを集積した「ファウンド・MUJI」、ディフューザー用のエッセンシャルオイル48種類をミックスしてカスタマイズできるアロマラボ、生成りのトートバッグ・ノート・封筒・収納ボックスなどに好きなようにスタンプを押すことができるコーナー、刺繍オーダーコーナーは、この店のみ。刺繍は、この店限定の12柄が加わった。観葉植物は、好調なら他店にも広げていく予定だ。子供用Tシャツの犬、クジラ、リス柄はこの店だけで買える。ボディフィットクッションは、使用感を試せるコーナーもある。
MUJI・USAの嶋崎朝子社長によると、店舗ごとに利益を出していくことが基本で、米国で出店した店はすべて黒字という。同社長は好調の理由を、「すべての商品が、コンセプトに基づいていることが強み。商品だけでなく、コンセプトを伝えるお店が日本で確立していて、海外でも導入できるノウハウがある。服と生活用品が全部揃っている店は少なく、新鮮と感じてもらえているのではないか」とみる。米国で1番の売れ筋はディフューザー。2番目はボディフィットクッションで、3番目は文房具という。
今後の課題は知名度だ。「デザインや建築関係の一部の人は知っているけど、一般の人に知ってもらうことが大事」と嶋崎社長。5番街に出店することで、MUJIを知らなかった人の目にも止まり、次の転機につながることが期待されている。
オープン前日の夜には、創業以来のアドバイザリー・ボードである小池一子氏のトークイベントが行われ、約90人が無印良品誕生秘話と時代背景、コンセプトが組み立てられたプロセスに耳を傾けた。