日鉄住金、遊心クリエイションを清算

2015/12/07 06:00 更新


 日鉄住金物産は100%子会社で「イーブス」「アソコ」などを運営する遊心クリエイション(大阪市)を清算することを決めた。来年1月末をめどに全店の営業を停止し、清算手続きに着手する。清算結了は来年9月をめどとしている。

 遊心クリエイションは02年、森島純嗣前社長が設立し、10年に住金物産(現日鉄住金物産)が株式35%を取得、14年11月には全株式を取得していた。現在の店舗数はレディス・メンズの「イーブス」34店、レディスの「グランデベーネ」7店、低価格雑貨業態の「アソコ」4店の合計45店。

 主力業態のイーブスは、グローバルSPA(製造小売業)をはじめとする競合激化や不良在庫が膨らんだこと、不採算店舗を数多く抱えたことで不振が続いていた。一時期大きな話題を呼んだアソコも、店舗ごとの収益性にばらつきがあっり、効率性の悪さもあって、収益面では厳しい状況だった。

 会社全体の業績も13年2月期こそ黒字を確保したが、14年2月期は売上高58億4000万円で、最終赤字に転落。債務超過に陥った。15年2月期も売上高56億5000万円で、引き続き赤字。今期(16年2月期)も赤字が避けられない状況となっていた。

 日鉄住金物産も再建に向けて、ワールドやポイントで役員を経験した久保木大世氏を社長に起用したほか、副社長を筆頭に5人の人員を派遣。MDや店舗運営、物流面など様々な改革を進めたが、収益を回復するには至らなかった。

 事業継続を念頭に、自社での再建だけでなく、事業譲渡の可能性も検討。アパレル企業、ファンドなどと交渉を重ねたが、現状での赤字に対する懸念が強かったことに加えて、新規出店、不採算店舗の閉鎖など事業建て直しには大きな投資が必要と判断されたことから、不調に終わった。

 遊心クリエイションの従業員は126人。日鉄住金物産は、金銭面や転職のケアも含めて「従業員への対応をしっかり行う」としている。今回の清算による損失額は非公表で、「16年3月期の業績予想に修正はない」としている。



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