古着やリメイク服を販売するショップ「アバンダンティズム」を運営する岡崎ぎゃざ(愛知県岡崎市)は、汚れたり色あせたりした服を黒に染め直して再生する取り組みや、子供たちがデザインしたプリントTシャツを販売する新たな企画「ソーゾータウン」を始めた。アパレルを通したサステイナブル(持続可能)や社会貢献の活動を目指している。
(近藤康弘)
黒染めは愛知の伝統工芸である名古屋黒紋付染を手掛けている山勝染工(名古屋)に依頼し、客が持ってきた服を染め直す。
岡崎ぎゃざの樋口雄太さんは「手持ちの服を染め直せば、さらに長く着てもらえる。例えばベージュを染め直せば、お客のたんすからベージュの服が減り、新たな需要が生まれると考えた」と取り組みの狙いを話す。服の持ち込みと受け取りで来店する機会は2回あり、他の商品を見てもらうきっかけにもなる。
価格は重さごと
ホームセンターなどにある市販の材料でも染めることはできるが、名古屋黒紋付染の発色の良さや洗濯耐久性にはかなわない。3月7日~4月6日に受け付け、出来上がりは5月の予定。開始から3日間で11着を受け付けた。「一度持ってきてから再び持ち込んだり、たんすの肥やしになっていたからという声が多い」とする。
美容師でお気に入りの服がブリーチ剤で脱色してしまったり、真っ白な服が黄ばんでしまったりといろいろだが、ブランド品が多いという。客層は20代後半から上。「若い人はあまり興味を持たない」ようだ。
料金はアイテムと重量によって変わる。Tシャツ・シャツ・ポロシャツは400グラムまでが3000円、400グラムを超えると4000円。ジーンズ・スカートなどは400グラムまでが4000円、それ以上だと6000円。オプションでボタンの取り外しと取り付け、アイロンがけがある。
オリジナルも
岡崎ぎゃざは17年4月に活動を始め、昨年10月アバンダンティズムを開いた。リメイクのほかにオリジナルウェアにも挑戦している。インテリアなどを手掛けるデザイン事務所と共同で、ファッションの外からの視点をあえて取り入れた「働く人が美しい」をコンセプトにしたベスト(1万9800円)を作った。企画のコンセプトや背景、製作の過程などを客と共有し、11着を作って、すでに10着が売れた。
廃材で作品を作る子供向けのワークショップ「造育こうざ」も行っている。そこに通う子供が岡崎の街で擬音をテーマに撮影し、それを基に描いた絵をプリントしたTシャツを作った。ユニークなのは販売の仕方。Tシャツの実物は見せずに、子供の自画像やプロフィールからデザインを想像し選んでもらう。「ネットで何でも見ることができ、試着もしないで買う時代。それなら見ないで買うのもありかも」として試みた。
昨年11月に6人の子供が30着を作り、すでに半分以上が売れた。1枚3500円のうち10%を製作者に還元する。