【次世代型ビジネス】オンワードとストライプの挑戦③

2018/11/11 15:00 更新


サプライチェーンで即効性

 両社は、即効性のあるサプライチェーンの合理化を目指す。

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■早期に実現するものは何か

ストライプインターナショナル石川康晴社長 まずは1、2年で生産背景、工場監査、EC事業の三つの分野で合計100億円規模のシナジーを出す。柱はサプライチェーンに関わるところで、特に生産面を重視する。

 オンワードは自社工場から委託工場まで様々な生産工場を持っている。ここに魅力がある。当社は急成長するなかで小ロットから大量ロットまで多様なプロダクトがある。オンワードの工場を活用することで品質向上や小ロット生産が可能になる。

 工場監査も合理化する。オンワードはアジア地域を主力に監査プログラムを確立している。

 一方、当社はフェアサプライチェーンマネジメント委員会で行っている。海外生産で同じ工場を両社が監査調査をしていることが分かったので、監査の合理化、最適化を行う。オムニチャネルのプラットフォームを活用したECモールへの相互乗り入れも今後さらに拡大する。

 EC市場で高額品が売り上げをけん引している。オンワードの主力ブランドが当社の「ストライプデパートメント」に加わることで、ECモールとしての特性を発揮できる。

オンワードホールディングス保元道宣社長 当社はメーカーとしての意識が強いアパレル企業であり、国内外での高い品質の生産基盤に自負がある。このプラットフォームをストライプに提供しながら、当社の生産事業の収益性を上げる。

 工場監査による品質管理は業界を挙げての課題になっている。日本のアパレルの強みである品質についてはオンワードクオリティーセンターの機能を生かしていきたい。品質管理の基準が時代とともに変化しており、両社でレベルアップを図りながら業界全体に影響を及ぼしていきたい。

■実店舗での協業は

保元社長 当社は「カシヤマ・ザ・スマートテーラー」でオーダーメイドビジネスのウィメンズを8月下旬からスタートした。ストライプグループはF1層を中心に若い女性の顧客を多く持っている。この層における就活向けや若いOL向けに共同で提案することで、当社にとっての新規客開拓に生かす。

石川社長 ストライプはF1層を中心に約600万人の顧客データを持っている。そのなかの約100万人が就活生の対象年齢。これをオンワードのスマートテーラーへ誘導する。

 当社の22歳以下の顧客データに基づいて、オンラインで対象者にDMを送り紹介する。このDMをワンクリックすれば、スマートテーラーのサイトに到達する仕組み。これについても即時に両社の提携効果が発揮できると確信している。

「オンワードの生産背景に魅力がある」と石川ストライプ社長
(繊研新聞本紙9月12日付)


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