【次世代型ビジネス】オンワードとストライプの挑戦④

2018/11/12 06:25 更新


接客サービスで差別化

 両社は日本版スマートストア・プロジェクトも立ち上げた。

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■日本版スマートストアとは

オンワードホールディングス保元道宣社長 現在の百貨店やSCが運営する実店舗の形態は、オンラインが登場する以前に構築したもの。この共同プロジェクトでオンライン登場後の市場に適応する、新しい店の在り方を確立したい。

 そこで大事なのは販売スタッフが輝くことだと考える。ショールームストアで在庫を不必要に構えず、接客も予約制にすることで販売スタッフの働き方も改善できる。業界全体に実店舗の在り方に制度疲労を感じているが、解決方法を見いだせていない。この課題に挑戦して答えを出したい。

ストライプインターナショナル石川康晴社長 スマートストアは19年9月または20年3月をターゲットに1号店を開設したい。我々2社だけの店ではなく、マーケットプレイスという位置づけで他社ブランドも含めて品揃えする。デバイスやAI(人工知能)、クラウドを持っている多様なテクノロジー企業にも参画を募りながら新しい概念のプラットフォームを確立する。

 スタート時は10社100ブランド、中長期的には100社1000ブランド規模にする。

■「人材を生かす」とは

保元社長 米国や中国のスマートストアは無人化に特徴があるが、我々の目指す日本版スマートストアはテクノロジーだけではない。ジャパンクオリティーの象徴でもある〝おもてなし〟の接客サービスで差別化する。

 顧客データを駆使したマネジメント業務を、優秀な人材が行える環境も整える。予約制による店舗運営の合理化で、労働時間の短縮にもつなげたい。

石川社長 商品サンプルを1点ずつしか店内に置かないので、販売員による棚卸しなどの作業がなくなり接客に集中できる。来店客には、店内にサロンを併設してシャンパンや和菓子、マカロンなどの飲食を楽しめるサービスを提供する。滞在時間と購買額には相関関係があるので客単価向上につながる。

保元オンワードホールディングス社長(左)と石川ストライプインターナショナル社長(右)

■想定する立地条件は

保元社長 従来の店舗立地の常識は崩して良い。都市部のオフィス街に近い主要駅近辺で、女性客が隙間時間に来店できる環境が望ましい。

石川社長 オフィスビルの上層階でメディカル系、エステ系の店舗と並ぶような立地を想定している。将来的には顔認証による決済システムの導入も検討する。

■今後、どう進める?

保元社長 まずは生産、品質管理での提携をスピーディーかつ確固たるものにする。「ストライプデパートメント」と「オンワード・クローゼット」、「カシヤマ・ザ・スマートテーラー」で相互送客するなど、顧客が重ならない両社の特徴を発揮する。

 これらで短期的に成果を上げる。スマートストア事業は収益性が確認できれば、出店を加速するためにジョイントベンチャーによる会社組織を立ち上げる。

石川社長 この分野でグローバル展開する小売り業態は、まだない。実店舗を持つリテール側からテクノロジーを駆使したスマートストアを確立する。これが世界標準になるように、オンワードと共に全力を挙げてやり遂げたい。

(おわり/繊研新聞本紙9月14日付)



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