【パリ=松井孝予通信員】パリで発生した同時テロ事件で特別休業した商業施設が、週明けから営業を再開した。百貨店やショッピングセンターはセキュリティー要員を増やし、通常通り営業。
今年1月のテロ後に敷かれたヴィジピラット(テロ警戒最高レベル)から行っていた入館時の手荷物のチェックを、さらに厳しくした。各百貨店とも通年の週1度の延長営業、年末商戦をかけた日曜営業やショッピングイベントは予定通り開催する。パリ中心地の商業ゾーンは、にぎわいに欠けるが、近所で買い物をする市民たちで住宅地の商店街は活気があった。
春夏コレクションの発表展示会を今週に予定していたメゾンは、週明けから日時や場所の変更に追われていた。招待状だけでなく、身分証明書の提示を求めるケースもあった。モンテーニュ通りとフランソワプルミエ通りにある高級ブティックで構成するコミテ・モンテーニュは、20日に予定していたクリスマスのイルミネーション点灯式とイベントの中止を発表した。
フォーブルサントノーレ通りの高級ブティックやホテルからなる委員会は、今週予定していたバカラのシャンデリアによるイルミネーション点灯式を延期。同委員会は年末恒例の10 ユーロ の福引券の収益金の一部を、テロ犠牲者の遺族へ寄付することを決めた。仏クチュール連盟は、パリ市庁舎で毎年11月25日に開く、高級メゾンの25歳未満の独身社員を祝う伝統行事「聖カトリーヌ」のレセプションの中止を発表した。
テロ翌日から閉鎖されたパリの国立・市立美術館、観光名所、公共施設は、ほぼ通常に戻った。エッフェル塔は16日から3日間、パリ市の要請によりトリコロールの照明で彩られた=写真。同市のラテン語の格言「フリュクチュアット・ネック・メルジチュール」(「悪天候にもいかなる逆境にも、パリは不滅である」の意味)と紋章も投影され、市民を力づけた。