欧州とアジア地域に影響はなし
【サンフランシスコ=立野啓子通信員】米サーフメーカー最大手のクイックシルバー(カリフォルニア州)は9日、米連邦破産法11条(チャプター・イレブン)の適用を申請した。同社は売上高15億7000万㌦(14年10月期)、資産3億3700万㌦に対し、負債額が8億2600万㌦。筆頭株主の投資会社オークツリー・キャピタル・マネジメントは1億7500万㌦を投入して店舗の営業を継続し、欧州、アジア地域での営業に影響はないという。
同社はリーマンショック前年の07年度から業績が低迷し、6年間赤字が続いた13年度は共同創業者のロバート・マクナイトCEO(最高経営責任者)が退任。元ディズニー・コンシューマー・プロダクツ会長のアンディー・ムーニーCEO(最高経営責任者)が指揮を執り、スノーボードの「マービン・マニュファクチャリング」や、「フォークデザイン」「サーフダウン・ショップ」(オンライン)を売却、リストラを進めてきたが実らず、今年3月、ピエール・アグネス新CEOと交代したばかりだった。アグネスCEOは「困難な決定だが、再出発するのに必要な手段」とコメントした。
クイッックシルバーは68年に豪州のサーファーが立ち上げたブランド。76年に米サーファーのロバート・マクナイトとジェフリー・ハックマンがライセンスを取得して米国でデビュー。新鮮なブランドとして時代の波に乗り、86年に株式上場。80~90年代は百貨店の主力売り場を飾るブランドに成長した。90年代に始まった可愛くてホップなウイメンズの「ロキシー」も成功、04年にはボードスポーツの「DCシューズ」を買収し、08年にレディスのコンテンポラリーラインの「クイックシルバー」が加えられるなど総合化を進めた。
しかし、百貨店の寡占化による売り場の縮小と、30年続いていたサーフメーカー主体の展示会ASR(アクションスポーツ・リテーラー)が10年に休止し、その後アジェンタに吸収されるなどサーフ業界を取り巻く環境も変化。リーマンショックによる消費低迷の中で、「次の一手」の再建がかなわなかった。