【パリ=松井孝予通信員】中国発ウルトラ・ファストファッション「シーイン」の導入を巡り、仏百貨店ギャラリー・ラファイエット(GL)グループが、BHVを運営する仏SGMとの提携を解消する。両社が11月4日、共同声明を発表した。GLグループは21年、SGMとGL地方7店のフランチャイズ契約を結び、23年には傘下の百貨店BHVマレ店を譲渡した。
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SGMは10月に、BHVマレ店とGL地方5店にシーインの常設売り場を開設すると発表した。GL側はパリ本店で主要ラグジュアリーブランドを展開する立場から、ウルトラ・ファストファッションとの併存は価格帯やイメージだけでなく、環境・社会的責任との整合性を損なうとし、両社は「戦略の相違」を理由に契約を終了することで合意した。今後数週間以内にGL7店は、BHVの看板に切り替わる。
シーインはBHVでの売り場開設直前に、幼児を模した性的目的とみられる商品が同社ECサイトで確認され、パリ地検が調査を開始した。本件は国内で大きな社会的議論を呼び、地方自治体にも波紋が広がっている。BHVがシーインを導入するディジョン市では、市長が「地域の価値観と調和しない」として仏政府およびEU(欧州連合)に対応を求めた。ロラン・レスキュール経済・財務主権大臣は11月3日の報道番組で、「再発すればシーインの仏市場アクセス遮断を求める」と表明。テロ対策や薬物犯罪と同様に、今回のケースも国内からの接続停止を要請しうると述べた。SGMは、各店で地域性を反映したシーインの商品構成で若者層を取り込む集客戦略を掲げている。